6歩目 ページ8
放課後になり、Aはまた溜め息を吐いた。残念なことに、Aは塾や習い事をしていない。王子様も土曜日以外は習い事をしていない、と女子が噂していた。つまり家に帰れば王子様がいるのだ。ああ塾でもやっておけば良かったとAは深く後悔しながら家路を歩く。
そしてとうとう着いてしまった。自分の家に入るのが嫌だなんて、母が死んでしまったとき以来だ。あの時は、帰っても母が迎えてくれないという事実が嫌で、父が帰ってくるまで外で待っていた。小学生だった頃の真冬の話だ。帰ってきた父に謝りながら抱きしめられたことをよく覚えている。
多分、王子様と優香里さんは引っ越しの段ボールを片付けているだろう。そしたら優香里さんの手伝いをしようと決めて家の扉を開けた。
「ただいま」
「おかえり、兄さん」
キラキラキラキラ。
迎えたのは予想通り、輝く笑顔の王子様だ。眩しい。今すぐその輝きを遮断するために扉を閉めてやりたい。
家に上がりリビングに行く。カバンを置いた辺りでふと気付いた。父と優香里さんがいない。
「母さん達なら、今買い物中だよ。さっき出たばかりだからまだ帰ってこないと思うけど」
考えていたことを答えられ盛大にビクついた。モモも王子様も人の心を覗く能力でも持っているのか。それとも自分の考えていることが分かりやすいのか。出来れば前者であってほしい。
いや、待て。つまり今、
王 子 様 と 二 人 き り
ピシャーンとAの心の中で雷が落ちる。出来ればそのまま感電したい。買い出しということは1〜2時間は帰ってこないだろう。
女子なら大喜びだがAは男子であり、さらに王子様なんていう目立った人物が苦手だ。やはり帰ってくるまで外で待っていた方がよかった。
「ふふっ、兄さんって考えてること分かりやすいね」
「え？そ、そうかな………。それじゃ、あの、課題あるから………！」
これ以上イケメンを見ていたら色々狂いそうだ。カバンを持ち逃げるように部屋へ行こうとすると、
「待って」
と手を掴まれた。無理だ庶民がこんなに長く王子様と話していたら不敬罪で捕まって処刑される。主に女子から。
「逃げないでよ。俺ずっと待ってたんだ。少し話そう？」
恐る恐る顔を向けるとにこやかな王子様と目が合った。
「ね？兄さん」
どうやら処刑は女子からではなく王子自ら手を下すらしい。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
