39歩目 ページ42
おかしい。何故こうなったのか。
学校に彼氏である蒼と来た麗は、Aを見て舌打ちをした。昨日根暗と王子様は住む世界が違うことを教えたはずだと言うのに。彼は惨めな思いをしたはずだ。
なのに何故、彼らは前より親密で甘いオーラを出しているのか。計画失敗？いや、根暗はちゃんと駆けて帰ったはずだ。取り巻きの駒達に確認させた。
納得がいかない。ああ、今だって、ほら。
「あっ―――――――！」
「ッ―――――――！！」
蒼がAと目が合うとお互い顔を赤く染めすぐ逸らした。麗の前で顔を染める蒼のことも麗は気に入らない。
「ねぇ、その顔止めてよ」
「え？その顔って？」
どうやら自覚がないらしい。こんなにだらしなくて甘い顔をしていると言うのに。麗は溜め息を吐いた。
「その、だらしない顔よ！」
麗は同じ高さになりネクタイを引っ張って引き寄せた。周りからはキスしているように見えるはずだ。
「いい加減にしなさいよ。権力は私が持ってるの。自分の立場を忘れない方がいいわ」
蒼の顔はさっと青くなる。そう。これでいい。今は私といるのだから、私のことで顔色を変えなさい。と麗は考え笑った。
だが今日は少々イラッとした。麗に対しての警戒が薄くなっている。それはつまり、彼氏らしいことをしなくなっているということ。ここで警戒心を強めてもらわないと足りない。なので麗は警戒心が上がるとっておきを考えた。
立ち上がった麗は蒼の慌てる声をガン無視してスタスタと歩く。目的の場所はもちろん、さっきから蒼と目を合わせては顔を染めるAのいるところだ。
麗は目の前に立った瞬間、Aの机をダンッっと勢いよく叩いた。Aは突然の大きな音にビクリと肩を揺らしてこちらを見る。
「貴方みたいな根暗が！私の王子様にちょっかい掛けないでくださる！？住む世界が違うのがまだ分からないのかしら！？」
クラスに響く程度の大きさで麗はAに向かって叫んだ。クラスメイトは何事かとこちらを見ている。Aは今、盛大に注目を浴びていた。
「とにかく！優しい王子様に付け入ろうとしないで。私のものなの！」
言いたいことだけ言った麗は自分の席に戻る。そこには、倒れるんじゃないかと心配になるほど青白い顔の蒼が固まっていた。
分かったかしら、王子様。私が貴方達の弱味を握っている限り貴方は私に逆らえないの。肩書きは黙って言うことを聞いてなさい。
麗はニヤリと、さながらゲームに出てくる悪女のように恐ろしい笑みを浮かべた。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
