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25歩目 ページ28

その日Aは、一日中ぼぅっとしていた。考えるのは蒼に無視されたこと。昨日何かしただろうか?悪いことはしていないはずだ。では何故?

学校が終わり、Aは一番に飛び出して家に帰った。蒼と麗が仲良く帰るところなんて見たくない。心がズキズキと痛くなって、泣きそうなくらい悲しくなるから。

今日は夕飯を作り家のことを素早く、出来れば蒼が帰ってくる前に終えて風呂に入り自室に籠ろうと思う。蒼を見ても同じように痛くなるからだ。向こうも会いたくないだろうし籠ってもいいだろう。

今日の夕飯は野菜炒めとコンソメスープ。手際よく。効率よく。まだ少し痛む手首も使って完成させる。当たり前のように二人分の食事を机に置いてから、蒼がまだいないことに気付く。遅いな、まだ帰ってこないのか。

と、そこまで考えて首を振った。馬鹿。あまり鉢合わせしないように早く帰ってきたのに、それじゃあ意味がないじゃないか。蒼の方にはラップを掛けてから席に座る。

「……いただきます」


静かな部屋。静かな食卓。まるで母さんがいなくなったばかりに戻ったようだ。一人でいると余計な考えが頭を支配する。

ねえ、蒼。僕、蒼に何かしちゃったのかな?僕のこと、嫌いなったから無視したの?

無視されることを望んでいたのはAだ。学校では極力目立たないように、家では適度に仲良くして、でも壁を作る。そのつもりだったのに蒼は踏み込んできて、気づけばAの方が蒼を必要としていた。嫌われたのではという不安に苦しく感じたのはそのせいだ。

洗い物も終え、掃除機を掛けて風呂掃除をしているところで扉の閉まる音がした。どうやらやっと蒼が帰ってきたらしい。時刻は18時。麗とデートをしてから帰ってきたのだろうか。考えると、またズキズキと痛くなる。早く自室に籠ろう。きっと蒼だって、嫌いな奴の顔なんてみたくないだろうから。

風呂掃除も終わり湯を溜めるボタンを押す。Aは急いで自室に籠ろうと階段へ向かった。

「兄さん、待って」

現実はうまくいかない。神様は意地悪だ。

「お、おかえり蒼。夕飯は野菜炒めだよ。掃除機とお風呂掃除はもう終わったから、溜まったら入ってね。じ、じゃあ僕は課題があるから……!」

目を合わせず言いたいことだけ伝えて階段を上がろうとした。心が痛い。蒼の声を聞くだけでそれが増してどうにかなりそうだ。

「待って!話があるんだ!」

蒼はAの腕を掴んで止める。振り向いたAの瞳が泣きそうなほど潤んでいるのが見え、蒼は言葉を失った。

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設定タグ:BL , 兄弟 , イケメン   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます!ありますよー!蒼くんの方が高いです!そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ! (2022年3月19日 7時) (レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます!更新頑張りますね!もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ!そこで完結です!夢主くんと蒼くんはどうなるのか!?麗は成敗出来るのか!?モモの正体は!?乞うご期待ですよ! (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2018年12月28日 1時

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