21歩目 ページ24
「まずは、東雲くんと二人きりになる。今の私たちみたいにね」
机に乗った桃華は足を組んだ。さながら本物の女王のようだ。
「初めてはちゃんと告白してあげよう？もしかしたらOKしてくれるかもだし」
クスクスと笑いながら桃華は言う。どうせ振られるのが分かっているのだ。蒼は告白を全て断っているから。多分、彼女を作る気はないのだろう。
「あり得ないわね。OKしてくれるわけないじゃない」
仕方がないがそれは事実だ。蒼の気持ちは麗にはどうしようもない。分かっている。
「ふふっ、その通りだよ。だから、あのことを言うの」
「兄弟になるって話のこと？」
桃華は笑って頷いた。対して麗は眉間に皺を寄せる。
「そうだよね〜。信じたくないよね〜。あの王子様とAが兄弟なんて。分かるよその気持ち」
胡散臭い笑顔の桃華はうんうんと頷く。分かりやすい表面上だけの同情を無視して麗は腕を組んだ。対抗心だ。
「それで？兄弟のことを言ったところで付き合えるとは思えないけど」
「もう、分かんないの？麗ちゃん頭いいのに」
やれやれと言うように溜め息を付かれ、麗はムッとする。何が言いたいんだ。
「何でわざわざ兄弟なこと隠してると思ってるの？」
それはAみたいな根暗と兄弟が嫌だから……。そこまで考えて、麗は違うとわかった。嫌ならあんなに分かりやすくスキンシップを取ろうとしないだろう。つまり、そうしなければいけない理由があるのだ。
「……脅せと言うの？」
兄弟のことをバラされたくないなら私と付き合って、と。
「あれ〜？嫌なの？今までそうやって落としてきたくせに？」
言葉は軽い。だが明らかに冷ややかな軽蔑の目が込められていた。麗は言葉を詰まらせる。
「それに麗ちゃんがほしいのは東雲くんじゃなくて、学校一のイケメンと付き合ったっていう肩書きでしょ？」
当たりだ。何も言えなくなった麗を見た桃華は机から降りて扉へ向かう。話は終わりらしい。
「あ、そうだ」
扉を開ける前、桃華は麗に向き直る。
「もしもの時のヒント。Aは目立つのが嫌いだよ」
「どういうこと？」
またもや桃華は胡散臭い笑顔を浮かべた。
「そこはご自分で。じゃ〜ね、麗ちゃん。付き合えるといいね」
一人残された空き教室で、麗は強く手を握りしめた。上をいかれたのだ。自分は天宮桃華に負けた。悔しい。だがこれで。
学校一のイケメンと付き合った、という他には誰も持たない、麗だけの肩書きが手に入るのだ。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
