14歩目 ページ16
一先ず手首に包帯を巻いてもらい教室に戻った。先輩今日は使っちゃ駄目なんですよ俺と一緒に早退しましょう送っていきますから、という蒼の申し出は丁重に断固としてお断りしておいた。一緒に早退なんてしたら検索エンジンの話題トップに載ってしまうくらい名前が知れ渡ってしまう。嫌すぎる。
「おかえり〜。散々だったねぇ。あ、ノートはちゃんと書いておくから、コピーして渡すね！」
「………ありがと」
モモとのこの会話は迫り来るクラスメイトからの質問攻撃を抜けきってからしたものだ。また出任せでしのいでしまった。ああ女子って怖い。
残りの授業はノートを取らず聞いていた。包帯を巻いてもらったとはいえ、やはり痛い。モモがノートをコピーしてくれるそうなので甘えさせてもらおう。ありがとう優しい幼馴染み。
ノートを取らないで聞いてるだけは飽きてくる。放課後になるのがいつもより待ち遠しかった。荷物をまとめて帰ろうとしたとき携帯が鳴った。メールだ。
『兄さん今から帰るでしょ？帰り道のコンビニで待ってるね』
……何故帰ると分かったのか。監視カメラか？それとも盗聴器？と辺りを見回す。イケメンは人の行動を予測できるのか、恐ろしすぎる。なんだそのオプション機能。
ノートをコピーしてくれたモモにお礼を言ってから帰る。学校の生徒が見えなくなった辺りで例のコンビニが見えてきた。帰り道にあるコンビニだ。そこに一段とキラキラしたオーラが見える。間違いない。そして世界が違い過ぎて話したくない。でもそんなに優しく出来ていないこの世界は、眩しい王子様な義弟にAの存在を確認させた。
「兄さんお疲れ様。手、大丈夫？ほら、カバン持つから貸して」
蒼はあの陶器のような手をこちらに伸ばす。いやいやいや、王子様にカバンを持たせるなんて滅相もない。
「え、い、いいよ！大丈夫自分で持てるし！」
「駄目だよ兄さん。使うなって言われてるでしょ。俺に持たれるの、嫌？俺、兄さんの力になりたいんだけど………」
嫌なら止めるよ……、と蒼はあの罪悪感の募る顔をした。ずるい。そんなことを言われたらAは断れない。多分蒼はそれを分かっていてやっている。策士だ。
「あの……じゃ、お願い」
「うん！任せて！」
夕焼けが霞むほど綺麗な笑顔を浮かべた蒼と家に戻る。Aは何となく察した。この怪我が治るまで、パーフェクトな王子様は僕の世話をするつもりだと。それもかなり過保護にするつもりだということを。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
