信じない理由 38 ページ39
「監督生は今日何の授業があるんだ?」
「えっと、魔法史と魔法薬学と体力育成······あとなんだっけ?」
「知らねーんだゾ」
監督生が抱えているグリムは全くもって授業の話題に興味が無いらしい。
「今日からちゃんと授業が始まるから、ついていけるか心配だな······」
「大丈夫だろ。教科書の最初の方はエレメンタリースクールの―――――」
復習みたいなモンだった、と言おうとして気付いた。
監督生、もしかしたらエレメンタリースクールだって行かせてもらえなかったかもしれない。
家族に守られず、食べる権利や拒否することだって許してもらえなかったんだ。学校に行かせれば今までの行為が露見する可能性があるのに、そんなところにわざわざ行かせるだろうか?
学校という場所に来るのは、ここが初めてだとしたら。今はものすごく不安だろう。
続きの言葉を待って少し首を傾げている監督生に首を振る。
「いや、何でもない。分からないところがあったら教えるから、聞きに来いよ」
「ジャック、優しいね。ありがとう」
控えめに微笑まれた気がして、どうも心臓が落ち着かない。意味もなくランニングしたい気分になってきた。
「ほら、1-A着いたぞ」
「ありがとう。次に会うのは多分お昼だよね。ボク、クラスで待ってるね」
「おう」
「ありがとなんだゾ!」
「ああ。勉強頑張れよ」
「うん」
ちょうどそこへ監督生に近付いてくる2人の影に気が付いた。
「おはよ、監督生」
「おはよう、ゴーストは大丈夫だったか?」
コイツらが、打ち解けたっていうハーツラビュル寮の奴らか。赤い髪の奴と青い髪の奴。
「おはようエース、デュース。ゴーストさん達、とっても良い人だったよ」
「アイツら、めちゃくちゃカホゴなんたゾ!」
それはお前、女の子と魔獣一匹だけだなんて過保護にもなるだろ。会ってまだ間もないが俺だって監督生が一人だったら不安になる。色んな意味で。
改めて華奢で小さい監督生を見つめる。俺が掴んだらすぐに折れてしまうんじゃないだろうか。
と考えていると、赤い髪の奴と目が合った。
「サバナクローの人っすね。案内どーも。もうオレらが監督生見とくからクラス行っていいよ」
おいで監督生、なんて呼ぶコイツは笑っているが······なんか感じ悪ぃ。
いや、違うか。コイツ、俺を警戒してるんだ。
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埋夜冬(プロフ) - 茜さん» 読んでいただきありがとうございます!続編でやらせていただきますね!お待ちください! (2022年1月30日 11時) (レス) id: 71445b0c29 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 夢主のイラストを見て可愛い!と叫びそうになりました。リクエストでハーツラビュルにお茶会に呼ばれたらというのをお願いします (2022年1月30日 11時) (レス) @page40 id: 6b60f4e764 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ユノンさん» こんにちは!コメントありがとうございます!私自身イラストが描けないので、絵心のある友人に頼んでみました!11日以降にまた覗いてみてください!きっとイラストが載ってますよ! (2022年1月6日 17時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 夢主人公のイラストが見てみたいです (2022年1月6日 12時) (レス) @page3 id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 星猫さん» 嬉しいです!!ありがとうございます!!続編までいくと思いますので、どうぞよろしくお願いします!!! (2021年12月30日 14時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜 冬 | 作成日時:2021年11月21日 23時