信じない理由 25 ページ26
「寮長、後で聞きたいことがあります」
エースがちらりとボクを見た。リドルさんもエースの目線を見て、ふ、と息を吐く。
「分かった。授業の間は君たちに監督生を任せるから知っておいた方が良いだろう。デュースと一緒に聞きにおいで」
「分かりました」
デュースもこくんと頷いた。
「ほらほら監督生ちゃん、ここが食堂だよ!」
ケイトさんがジャーンと見せるのはわいわいと賑やかな食堂だ。ここの学生全員が利用できるように、特に広く作られている部分だ。人の多さに少し萎縮してしまう。
「料理は手頃な価格になってるから、お弁当の用意ができない時は頼むといいぞ」
トレイさんの説明にハッとする。
「やっぱりお金かかるんですね······」
ボクお金持ってないから、お昼抜きだ。グリムが可哀想だな。せめてグリムだけでも食べれたらいいんだけど。
「学園長からもらっていないのかい?」
「はい。食料はいただいたんですが、お金とお弁当箱がなくて。あ、あのっ!ボクはいいんで、グリムだけでもご飯食べさせてあげてください!」
お願いします!とリドルさんに頭を下げるとリドルさんは困惑しながら「頭をお上げ」と言った。
「もちろん事情を知っているから出来るだけの手は貸すよ。だが君だってお腹が空いているはずだ。慣れないことをしたから余計エネルギーを使っただろう。君の分も、」
「いいんです!ボクは食べれない日があっても水があれば生きていけます。でもボクの生活にグリムを付き合わせたら悪いからグリムには食べさせてあげたいんです」
「水だけ······?」
違うんです!大事なのはそこじゃなくてグリムの事です!
ボクはお姉ちゃんと二人暮しを始めたばかりのころ食べるものがなかった日のことを思い出した。人間、本当に食べ物がなくて困ったら水で生きていける。
「ボク、返せるものがないからこれ以上迷惑かけられないんです。髪の毛も、居場所も、学園生活に必要なものももらったけど、お返しできるものがないから······。あとボクにできることは、お姉ちゃんにやらされてたことぐらいで」
ピクッとリドルさんたちの体が反応した。
「えっと、モデル?被写体?みたいなことしてました。ベッドに押し倒されて服を脱がされるとことか、拘束されるとことか、そういうのなら――――」
「監督生ッ!」
――――完璧なポーズもリードの仕方も分かりますよ!と言いたかったのに遮られてしまった。
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埋夜冬(プロフ) - 茜さん» 読んでいただきありがとうございます!続編でやらせていただきますね!お待ちください! (2022年1月30日 11時) (レス) id: 71445b0c29 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 夢主のイラストを見て可愛い!と叫びそうになりました。リクエストでハーツラビュルにお茶会に呼ばれたらというのをお願いします (2022年1月30日 11時) (レス) @page40 id: 6b60f4e764 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ユノンさん» こんにちは!コメントありがとうございます!私自身イラストが描けないので、絵心のある友人に頼んでみました!11日以降にまた覗いてみてください!きっとイラストが載ってますよ! (2022年1月6日 17時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 夢主人公のイラストが見てみたいです (2022年1月6日 12時) (レス) @page3 id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 星猫さん» 嬉しいです!!ありがとうございます!!続編までいくと思いますので、どうぞよろしくお願いします!!! (2021年12月30日 14時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜 冬 | 作成日時:2021年11月21日 23時