信じない理由 14 ページ15
道中はトレイとケイトの紹介。監督生は入学式の時に助けてもらったのを覚えていたようで感謝していた。
｢さて監督生。これがNRCだ。広くて迷うだろうから、最初の一週間は寮長が迎えに来る。クラスでの移動は皆についていくように。お昼になったら迎えに来るから、それまでは教室で待っていること。いいね？｣
｢は、はい！｣
本当に、外観を見ると立派な建物だ。さすがNRC。
｢1年生の教室はこっちだよ｣
とそこにものすごい足音を立てて何かが迫ってくる音がした。学校でコツコツ音を立てる靴を履いているのはあの先輩しかいないだろう。
音の方へ目を向ければ、やはりヴィル先輩がものすごい勢いでこちらに来ていた。
｢ちょっと！！アンタなんてことしてんのよ！！！｣
｢ひっ！だ、誰ですかぁぁ······！！｣
開口一番に怒鳴られてしまい、監督生はすでに目にいっぱいの涙を溜めている。
｢ヴィル先輩、まずは紹介を······｣
｢はあ！！？紹介なんてチンタラやってらんないわよ！あんな綺麗な髪してたのにこんな······っ！｣
｢ふなー！！子分を泣かせんじゃねーんだゾ！！｣
大声の怒鳴り合いに目をきゅっと閉じて耐える監督生はまるで小動物だ。あ、と思った時には監督生の目からポロポロ涙が零れて、体を縮こませてしゃがみこんでしまった。
｢ぼ、ボクのせいで怒ってますかっ？ごめんなさい！怒らないでぇ······！｣
きゅっと体を縮こませて守るのは、暴力に耐える子どもによくある反応だ。体を少しでも傷つけないための反射行為。なんて記事を最近見たのを思い出した。
やはり監督生は、姉や家族に日常的に暴力を振るわれていた？だからこんな反応を？
ボクの将来の夢は魔法医術士だ。医療関係の本は昔から読んできた。その中には家庭内での暴力も記述があった。魔法医術士であるならば、心が傷ついた子だって治してあげれなくてはいけない。
｢違うよ。キミのせいじゃない。怖がらなくて大丈夫。ヴィル先輩は、キミの綺麗な長い髪がなくなってしまったのが悲しいんだ。怒っているわけじゃない｣
ほんと？と監督生がそっと顔を上げた。
｢そうよ。怖がらせて悪かったわね。アンタに似合ってたのにと思ったらいてもたってもいられなくなったのよ｣
まだ涙の膜が張っている目。ヴィル先輩はしゃがんだままの監督生と目を合わせた。
｢ねえ、良かったら髪を直しても良いかしら？｣
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埋夜冬(プロフ) - 茜さん» 読んでいただきありがとうございます！続編でやらせていただきますね！お待ちください！ (2022年1月30日 11時) (
レス) id: 71445b0c29 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 夢主のイラストを見て可愛い！と叫びそうになりました。リクエストでハーツラビュルにお茶会に呼ばれたらというのをお願いします (2022年1月30日 11時) (レス) @page40 id: 6b60f4e764 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ユノンさん» こんにちは！コメントありがとうございます！私自身イラストが描けないので、絵心のある友人に頼んでみました！11日以降にまた覗いてみてください！きっとイラストが載ってますよ！ (2022年1月6日 17時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 夢主人公のイラストが見てみたいです (2022年1月6日 12時) (レス) @page3 id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 星猫さん» 嬉しいです！！ありがとうございます！！続編までいくと思いますので、どうぞよろしくお願いします！！！ (2021年12月30日 14時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜 冬
| 作成日時：2021年11月21日 23時
