【BL】拾ったのは犬じゃなくて人でした(汗)【オリジナル】

エピローグ ページ49

『もう水姫のこともお前のことも思い出したくない。私の人生に関わらないでくれ』
ライブ2週間前に、生物学上の父親からそんなメールが来ていた。こっちから願い下げだ！と荒ぶる心を宥めて『そうですか。今までありがとうございました』とメールを返信してすぐにアドレスを消す。そして、その日にAにプロポーズすることを決めた。
完成していた曲の歌詞を少し変える。Aならきっと分かるだろう。これがプロポーズだと。
1曲目はAのトラウマに向けて。2曲目は俺と過ごした日々のAに向けて。3曲目は別れた父への鬱憤を込めて。そして4曲目。もう邪魔するものは何も無い。やっとAにプロポーズ出来る。一緒に幸せになろう。そんな意味を込めた曲。意図は正しく伝わって、Aはプロポーズを受けてくれた。

夕食の用意をしているとガチャリと扉の開く音がした。

｢ただいま咲夜｣

｢おかえりA｣

最近Aは日付が変わるずっと前に帰ってくるようになった。いつもなら23時ぐらいなのに。曰く、課長が別の支部に移動になったらしく、今の課長は優しいらしい。同僚も話しかけてくれるようになって、毎日会社が楽しいと笑っていた。Aが笑っていると咲夜も嬉しい。

新婚のようにキスをして、お互いはにかむ。

｢今日はグラタンだよ。チーズたっぷりの｣

｢いつもありがとう｣






今日も幸せな1日が終わって、また溢れる愛と笑顔の明日が始まる。

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