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第35話 ページ37

利紀が母と自分を重ねているのは分かっていた。泣きそうな顔して俺を罵る姿は惨めだった。利紀の暴言に悲しむ感情の動きすら面倒で心が傷ついているのを見て見ぬふりをして過ごしていたせいで、自分が嫌いで嫌いで仕方なかった。

バンドはそんな気持ちを忘れさせてくれて、本当に心の底から楽しめていたのだと思う。だから久々に暴言を浴びせられ、心が軋んでしまった。利紀から離れた遠いところに行きたくてただずっと歩き続けて、あのゴミ捨て場についた。
もう歩きたくない。疲れた。いっそこのまま死んでしまおうか。

そこでAと会った。

「本当はね、拾われる気なんて無かったんだ」

「えっ」

拾ってと言ったら侮蔑の目を向けられるだろう。そしたら爆笑してやるつもりだった。初めて向けられるであろう目線に。俺みたいな顔だけは良いらしい男にお前ごときが向けた視線を。もう全部どうでも良くて。

「でもAは拾った。しかも家着いたらすぐ寝ちゃうし。見ず知らずの男を家に入れて寝るとか、そんな無防備で大丈夫かってビックリしたよ」

クスクス、咲夜が笑う。

「うっ・・・!だってあの時はものすごく疲れてたから・・・」

「それにお金も鍵も渡しちゃうし?」

「そっ、それは朝急いでて・・・・・・」

思えば初日から慌ただしくて、何も考えていなかったなぁと思う。冷静に考えれば変な行動ばかりだ。

「一緒にいるの、すごく楽しかったんだ。バンドと同じくらい。ううん、それ以上」

家事が楽しかったわけじゃない。常に慌ただしくて、それでも一生懸命で、知らない男と同居し始める無防備なところが危なかっしくて可愛くて、気付けばどんどんハマっていった。
喜ぶ顔が見たい。安心しきっている顔が愛おしい。驚いて真っ赤になってる顔なんて、ちょっとイジワルしたくなっちゃうくらい可愛い。泣く顔もそそられるけど、やっぱり笑顔が1番心があたたかくなる。

「あの時さ、バンドの曲作りも上手くいってなくて。スランプってやつだったんだ。でもAが笑顔になる一端に俺が作った曲が関わってたんだなって知って、音が溢れてきた」

ラブソングをつくる予定だった。書き留めていた音符や歌詞が形になっていったのは、Aと出かけたりするようになってからだ。夜に会うことが多いバンドメンバーと曲の話し合いをして、その後も数曲を皆でつくる予定だった。

「その時だよ。出ていってって言われたの」

出ていってと言われて、咲夜は怒っていなかった。

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*-七海-*@めぐ民 - う〜ん…泣ける!もう、今我情緒不安定だからww涙めっちゃ出るんやけどww (2020年8月25日 21時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» なりましょう!(2人は我らが見てるって事を知らないのだな…) (2020年8月11日 23時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» よし!2人で木になりましょう!!! (2020年8月9日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» wwwじゃあ、我はその木の枝役に立候補します!!ww (2020年8月9日 22時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» でしょう!?私はめちゃくちゃイケメンな相手にやってるのを見る木の葉役に立候補します!!! (2020年8月9日 13時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2020年6月28日 22時

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