21話［♪］ ページ42
ドキドキと心臓が鳴っている。何故か体に力が入って、桜の笑顔が見たいと思うのに目を逸らした。全身の熱が顔に溜まってるんじゃないかと錯覚するほど、自分でも顔が赤くなっているとわかる。
何だ、これ･･････。なんか心臓、きゅってした。
チラリと桜を見ると、まだクスッと笑っていた。また心臓がきゅっとなる。
｢漫画の続き、気になりました。本屋で見つけたら買ってみようかな｣
俺の話を聞いて、気になってくれたのか。いつもなら『ぜひハマってほしい』と思う気持ちの方が大きいのに、今日は桜が"俺の話を聞いて"そう思ってくれたことの方が嬉しかった。
｢買うんか｣
｢え、駄目ですか？｣
｢あ、いや･･････その･･････｣
買ってくれるのは嬉しい。だが桜が買ってしまったら、もう家に来ないかもしれない。来て欲しい。感想を言い合ったり、続きの単行本を一緒に読んだり･･･。
つまりは、また桜とこうして話したいのだ。さっきのような笑顔をもう一度隣で見たい。
｢お、俺が･･･貸してもいいけど｣
｢えっ｣
｢本屋行ったら抜けてる巻もあんだろ。1巻から揃えるより、俺が貸した方が確実だろ｣
だから･･･、とその先の言葉は萎れていった。やっぱり不良から借りるのは嫌だよな。
琉司は過去、不良の先輩から漫画を借りて汚してしまった後輩を知っている。先輩の一番お気に入りの巻だったらしく、彼は相当怒って後輩を締め上げた。まぁ、俺もオキニの巻汚されたらそれくらいしちまうなぁ･･･と思っていたので介入はしなかったが。
桜が見てきたアニメや漫画にあの先輩のようなシーンがあったなら、それは俺にも当てはまると考えるのが妥当だ。
オキニの巻を汚されたら怒るが締め上げるまではしないな。
特に、桜相手なら。
桜を見る。彼はパチパチと瞬きしてから真剣に悩み始めた。
｢何悩んでんだよ。別に汚しても締め上げたりはしねーよ｣
ぶっきらぼうにそう言うと、桜はまた驚いたように瞬きを繰り返した。
桜が何に悩んでいるか知らないが、出来ればまた話す機会を作って欲しい。
｢じゃあ、お願いします｣
ペコリと頭を下げた桜に自分でも驚く程テンションが上っていることに気付く。良かった。またこうして、友達みたいに話すことが出来る。
｢おう！｣
返事をする時の顔が変にニヤついていなければいいな、と願うばかりだ。
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埋夜冬(プロフ) - 桧さん» 返信遅くなりすみません！続編にいくので、引き続き応援よろしくお願いします！コメントありがとうございました！ (2021年9月7日 18時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
桧 - めちゃめちゃ面白いです！！更新楽しみに気長に待ってますね！！ (2021年8月6日 0時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり(プロフ) - あおん。さん» コメントありがとうございます！ゆっくりとした更新になりますが、これからも応援の程宜しくお願い致します！ (2020年9月28日 13時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - あおん。さん» ありがとうございます！ちまちま更新していきますが、これからも応援よろしくお願いいたします！ (2020年9月28日 8時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
あおん。 - 面白いです！更新楽しみにしてますね！ (2020年9月28日 4時) (レス) id: 71950dc544 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜 冬 | 作者ホームページ：http://uratuku/sounewawawa1
作成日時：2020年3月1日 13時
