17話[☆] ページ35
「あら!ちゃんと連れてきたんだね琉司!えっらーい!」
恐らくというより絶対に琉司のお姉さんは僕を見つけてパチパチと手を叩いた。
「うっせぇ。今日連れて来なかったら俺のことシメてただろ」
「やだ琉司ったら〜!私みたいな可憐なお姉様がそんなことするわけないでしょ〜?」
前に琉司が居るからどんな顔をしているか分からないが、声色が物語っている。
怖い…。昔に会った人と同じ様な声色。微かに震えた右手を左手で抑える。これ以上震えない様に。
「さてと、あの可愛い写真の美人さんがどんな子か、ご尊顔を見せてもらおうかな〜!」
「おい紹介するから、どわっ!?」
琉司のお姉さんは僕の前にいた琉司を無理やり退かして、僕の目の前に立った。僕自身としては顔を上げるつもりは無いが、昔の事を思い出してしまうからビクビクしてしまう。
ムギュと僕の頬を掴んで上に向かせる琉司のお姉さん。
「わ〜!思った通りの美人さん!!下向いてちゃ勿体ないじゃん!ってか肌白!?ツヤツヤ!?化粧品何使ってるの!?」
その言葉は母に言ってやってくれ。母が使っている化粧品を僕は使っているんだから。と言っても、僕は殆ど化粧品を使っていない。使う時はコスプレをした後位だ。
琉司のお姉さんは僕の頬というより顔全体を見て『可愛い!』と叫んで、僕の手を無理やり握ってよろしく!と言われた。
この人にパーソナルスペースというものは無いのだろうか。そう思って別の恐怖が湧いてくる。僕の両親や僕は静かだから、煩い友達が居ない。だから、怖い。
「おい!怖がってんだろ。離せ!」
琉司のお姉さんと僕を引き離して僕を守る様に前に立つ琉司。
「大丈夫か?」
「は、はい……」
正直言うなら大丈夫じゃ無い。全く持って何が起こっているのか分からない。
「琉司、邪魔なんだけど?」
「だーかーらー!紹介するから待てって言ってんだろ!!本当に人の話聞かねーな!!!」
と言うより、ここ玄関なんですけど…と言いたいが言えない状況だ。これを立ち話と言うのか?いや、絶対に違う。それだけは普通と違う僕でも分かる。
「分かったよ
「俺かよ!?」
まず僕はこんな熱烈な歓迎を受けた事がない。
ビクビクしている僕に琉司は上がる様に促して椅子に座る。自分がお茶出そうとしたが、琉司のお姉さんに捕まって結局『可愛い』と連呼される事となった。
「遅くなった」
そう言うなら早く来てくれ!と心の中で言う。
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
埋夜冬(プロフ) - 桧さん» 返信遅くなりすみません!続編にいくので、引き続き応援よろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2021年9月7日 18時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
桧 - めちゃめちゃ面白いです!!更新楽しみに気長に待ってますね!! (2021年8月6日 0時) (レス) id: f7e0d06981 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり(プロフ) - あおん。さん» コメントありがとうございます!ゆっくりとした更新になりますが、これからも応援の程宜しくお願い致します! (2020年9月28日 13時) (レス) id: 39d75deffc (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - あおん。さん» ありがとうございます!ちまちま更新していきますが、これからも応援よろしくお願いいたします! (2020年9月28日 8時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
あおん。 - 面白いです!更新楽しみにしてますね! (2020年9月28日 4時) (レス) id: 71950dc544 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:埋夜 冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2020年3月1日 13時