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71冊目 ページ32

嘉川も参加してゲームのトーナメント、すごろく、トランプ、オセロなどなど、白熱した戦いを続けていたらいつの間にかとっぷりと陽が暮れていた。そろそろお開きにしなければならない時間だ。

「それでは、ショータイムといこうか?」

愛川が言うと凛音と嘉川が頷く。誕生日と言えばやはりケーキだろう。嘉川が家に来る前に買ってきてくれたので有り難い。

「ほら主役はとっとと席座って」

凛音が湊を誕生日席に座らせ、嘉川は持ってきていたバースデーハットを被せる。その間に愛川は皿、Aはケーキにろうそくを刺した。

「暗くするよ」

凛音が部屋の明かりを最小にしたと同時にろうそくに火を付ける。いよいよメインイベントだ。
日頃の感謝と愛しさを声に込めて、Aはバースデーソングを歌う。

「湊さん、お誕生日おめでとう!!」

キラキラした笑顔で言われたら今までの苦痛だった誕生日は全てどこかへ飛んでいった。これからは一生こういう誕生日だったことを思い出せるのだ。その幸福といったら!

「お願い事してから火を消してね」

「うん」

湊の願い。一体何を願おうか。

―――――こんな幸せな日が、いつまでも続きますように。

湊はそう願い火を消した。凛音が照明を元に戻して拍手が起こる。
これが誕生日会なのか。こんなに祝われたことはない。

「九条先生、もう1つプレゼントがあるんだ」

Aと目を合わせた愛川は鞄からiPadを取り出す。起動させてアルバムを開いた。
一体何だろう。

『湊、誕生日おめでとう』

ビクリと体が震えた。この声は。

『今までこんなに祝ったことがないから何を言えばいいか分からないな。すまない、こんな父親で』

紛れもなく父の声だった。
ビデオ撮影で病院のベッドに座り言葉を選ぶ父は前に会ったときよりもいくらか顔色が良いように感じた。

『ちゃんと祝ったことはないが、お前の誕生日は忘れたことがないんだ。何を言えばいいのか分からないから、今まで言いたかったことを言おうか』

何を言われるのか。湊は緊張して拳を握った。

『湊、生まれてきてくれて、私の息子になってくれてありがとう。お前は辛い思いでいっぱいかもしれないが、息子であることを私は嬉しく思うよ』

誕生日おめでとう、それでは。
と声がしてビデオが終わる。

何さ、そんなこと本人の前で言えよ。
俺も、父さんの息子で良かった。

ぐるぐると感情が巡ってそれは涙になった。

「ありがとう」

ここにいる皆と父に。
彼らはにっこりと笑い返した。

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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!返信遅れてごめんなさい!キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω`*) (2019年12月14日 13時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜!!この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです!!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません!ドキドキしていただけたなら作者も満足です!次回作もよろしくお願いします! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません!可愛く書けていたなら良かったです!次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね!この作品を読んでいただきありがとうございました! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました!完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年8月10日 22時

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