68冊目 ページ29
昼になるとオードブルの準備も整い、あとは愛川達が来るのを待つだけだ。湊は今まで誕生日会なるものを開いてもらったことがない。なので楽しみだが、同時に緊張している。
そこでピンポーンと軽快な音が響く。どうやら来たみたいだ。
Aと湊は駆けていき扉を開ける。
「いらっしゃい」
「こんにちは！」
やって来たのは愛川と凛音だ。嘉川は遅れて来るらしい。
「やっほーA！会いたかったよ！僕は毎日Aに会いたいんだけどあの残念イケメンが許してくれないの！」
「あの九条さんがこんなに表情豊かに……！さすが受けキャラを体現した子なだけあるね時ヶ瀬くん！」
一気に二人から話されて湊は多少たじろいたが、Aはどちらの言葉も聞き取ったらしい。もー、と言いながら苦笑いだ。
「毎日会ってたら仕事してくれないでしょー？紅葉さんが怒ってたよ。それと、確かに湊さんは表情豊かになりましたけどそれは俺の力じゃなくて湊さん自身の力なんですよ。すごいですよね、愛川さん」
確かに出会った頃の湊なんて驚きと怒り以外の表情は知らないんじゃないかと思うくらい表情筋を使っていなかった。
それが今では雑誌の表紙が飾れるレベルに笑顔を浮かべる。大進歩だ。
「うっ…、もう、中入りなよ」
ははは、と笑って二人をリビングへ案内する。部屋には唐揚げなどのオードブルや飲み物が用意されていた。
「すごいな。これはもしかして時ヶ瀬くんが？」
「はい！」
今日は特に美味しくできたと思っている。自信作ばかりだ。
「Aの料理は全部美味しい」
湊が言うと、愛川は「見せつけてくれるねぇ」と朗らかに笑った。まるで湊の父のようだ。
「ふん、Aの手料理食べるのだったら僕の方が早かったから！何ならバレンタインデーのチョコは手作りだったから！」
諦めたからといって長年の恋心が消滅するわけではない。やはりどうしても対抗心が出てきてしまう。
湊的にはキャンキャン吠えるチワワぐらいにしか思ってないが。
そんなキャンキャン状態な凛音をよしよしと撫でたAは皆を席に案内する。早くしないとどんどん冷めてしまうから。
「どうぞ！」
「「「いただきます」」」
こうして、湊は楽しみにしていた誕生日会が始まった。
きっとAのことだ。なにかサプライズを用意しているだろう。
皆が集まって誕生日会の時点で少し瞳を潤ませながら、湊は微笑んだ。
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます！返信遅れてごめんなさい！キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω｀*) (2019年12月14日 13時) (
レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます！！もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜！！この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです！！これからも頑張ってください！応援してます！ (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません！ドキドキしていただけたなら作者も満足です！次回作もよろしくお願いします！ (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません！可愛く書けていたなら良かったです！次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね！この作品を読んでいただきありがとうございました！ (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました！完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年8月10日 22時
