49歩目 ページ9
学校での今日のAはダークだった。放課後になってもテンションは上がらず机に伏した。その理由は、
「せっかく蒼がピアノ弾いてくれたのに……」
そう。あの時あまりにも心地よい音色でAは寝てしまった。蒼は「気にしなくていいよ。兄さんも疲れてたんでしょ？気持ちよく寝れたなら良かったよ」と言ってくれた。王子スマイルとその聖母のような言葉に、余計懺悔したくなった。
「あらら〜ダークだね〜可哀想に。ま、でも今日はいいことあるから大丈夫だよ！」
伏した顔を上げると、何かに興奮しているのか頬が赤いモモと目が合った。そういえば今日のモモはテンションが高く一段と機嫌が良い。
「いいことって……？」
「秘密〜！楽しみは取っておくものだぞっ！」
星が飛ぶ幻覚が見えるぐらいウインクを決めたモモ。テンションが高すぎて逆に気持ち悪い。
「さぁ〜てと！そろそろ一大イベントが始まるから、私はここを去るとしよう。A、頑張れ！」
一大イベント？ゲームか何かだろうか。モモの言っていることは分からない、とAは首をかしげた。というか、頑張れとは何なのか。
「あ、そうだ！」
鞄を持って帰ろうとしたモモはAのところに戻ってくる。Aの耳に口を寄せた。
「麗ちゃんと話すことがあったらさ、“本当に東雲君が好きなのか”って聞いておいてくれない？」
「は？」
なんだそれは。どういうことなのか。そう聞いても、モモはにっこりと笑みを深めるだけだった。モモはまた何か企んでいるのだろう。この笑顔は蒼に「大正解」の伝言を任した時と同じ顔だ。悪い方向に向くことは分かっているのに、言わなければいけない気がする。
そもそも、蒼と桐島麗は恋人だ。嫌いなわけないじゃないか。
「んふふ、それはどうかな〜？ま、よろしくね！ばいばいA！」
ブンブンと手を振るモモは扉の向こうに消えた。何だあのテンション。怖すぎる。モモが言っておけと言ったなら、今日は桐島麗と何かアクシデントがあるのだろう。長年の勘が告げている。出来ればもう関わりたくないのだが。
「ねぇ。ちょっと話があるのだけれど」
……やはり世界は優しくない。
目の前には腕を組んでいる桐島麗が立っていた。見るからにご立腹だ。いつもより目が鋭い。
「私が言ってるのよ！早く立って！付いていてちょうだい！」
昨日転ばされた後の対応が駄目だったのか。ビクリと肩を震わせながらAは恐る恐る立ち、「怒ってます」と言った感じで歩く麗の後を追った。
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埋夜冬(プロフ) - ｳｪｰｲさん» 喜んでいただけているご様子ですね！嬉しいです！ (2021年7月10日 22時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ｳｪｰｲ - (*＾▽＾*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ！！無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - （＾∇＾） (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます！もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作者ホームページ：http://uratuku/sounewawawa1
作成日時：2019年3月5日 23時
