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65歩目 ページ27

ガヤガヤと教室の中は大盛況だ。
今日は文化祭。Aたちのカフェは予想以上の人気で人手が足りないくらいの状況になっている。男子のウェイターの衣装と女子のエプロンが可愛いくケーキも美味しいと広がっているらしい。

「人手、足りない…」

「まだシフト時間でしょ〜!ほら手を動かして!レッツ社畜!」

社畜って……、とAは乾いた笑いを漏らす。社畜と言っているわりにモモは楽しそうだ。コミュニケーション能力の高い人にこういう接客業は楽しいらしい。

そんな中、教室の扉の前がざわついた。口々に聞こえる「かっこいい」。誰かなんて見なくてもわかる。

「こんにちは。席空いてますか?」

蒼だ。相変わらず煌めいている。眩しいし神々しい。幻覚で周りに花が見える。

「ほらA!王子様来たから行ってきて!」

えい!とモモに押されたAは転げそうになりながら蒼の元へ行く。毎日見ているというのに慣れない。かっこよくて視線を逸らす。

「えっと、どうぞ」

今は仕事中、今は仕事中…。と心を何度も落ち着かせ蒼を案内する。空いている端の席に案内するとにこりと笑ってお礼を言われた。
やめてお兄ちゃん溶けちゃう。というか心はすでにドロドロだ。

「ね、A」

注文するふりをしてAに顔を近づけた蒼は小さな声で囁いた。

「その格好、すごく似合ってる。かっこいいよ」

ボボボボッとAは顔を赤くして離れた。パクパクと何か言いたそうな口は照れて言葉を発せなかった。
離れたAを蒼はもう一度引き寄せた。

「14時頃にホールの裏。待ってるから」

ホールとはこの学校にある発表の場だ。普段は朝礼をしたりする所である。
14時頃に何か演目があっただろうか。蒼が気になるようなもの?

「俺ケーキと紅茶で」

外面用の笑顔を浮かべた蒼はウェイターであるAに注文する。仕事中であるAはそれを言いに行かなければならない。
こういうとき、Aは蒼を意地悪だと感じる。だがそこに悪意が出てこないのは、自分が蒼に惚れているからだろう。

「……かしこまりました」

ムッとしているAも可愛い。それを本人に言うと怒るので言わないが。蒼は戻っていくAを見ながらふふっと笑った。

その一連の流れを見た腐女子モモは隠れて合掌していた。精神を落ち着けないと尊さで叫びそうだ。
モモは蒼と目が合い、微笑んで頷いた。任せておけ。“アレ”の準備は既に出来ている。これがハニーエンドに向かう最も大事なイベントなのだから、モモが失敗するわけない。

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埋夜冬(プロフ) - ウェーイさん» 喜んでいただけているご様子ですね!嬉しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ウェーイ - (*^▽^*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ!!無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - (^∇^) (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます!もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1  
作成日時:2019年3月5日 23時

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