56歩目 ページ16
朝、Aはビクビクしながら教室に入った。桐島麗からの報復が怖かったのだ。
蒼の秘密とは何なのか知らないがバラすつもりであれば全力で阻止しなければならない。蒼がAを想っていてくれるかぎり自分も蒼のためにできる精一杯のことをするつもりなのだ。恋人だから。
「お、おはよ……」
そっと教室の中に入ると、
「高城くん!!」
と何故かクラスメイト全員が寄ってきた。中には泣いている子もいて、Aの心臓が縮んだ。
「え、あの――――」
「ごめんなさい!!!!」
いきなりクラスメイト達から謝罪され、Aはビクついた。今日みんなどうしちゃったの桐島さんの報復なの怖い怖いごめんなさい!!と脳内では土下座中だ。
「私たち、高城くんがいじめられてても何も出来なくて……」
「俺らも桐島のターゲットになるの嫌で逃げてたんだ。でも、あの動画見て何で助けてやれなかったんだろうって反省してさ。今までごめんな!!」
「え、え!?いやあの……え?」
普段クラスでは空気で、モモ以外と喋らなかったAは変な汗をかきはじめた。怖すぎて鼓動が大変な事態だ。
って、待てよ?動画とは何の話だ?
「動画ってのはこれのこと」
近くにいた男子が携帯を弄る。はい、と見せられたのは校舎裏でのあの件だ。上の階から撮られているものだった。
声は変えられているが制服と言い方から、うちの学校であることと桐島麗であることがわかる。
「桐島さんは今日学校来てないの。ま、来れないよね。この動画で特定されてるし」
聞けばもう桐島財閥のご令嬢だと出回っているらしい。ネットって怖い。桐島財閥は盛大にバッシングを浴びているようだ。
そんなクラスメイトのごめんなさい攻撃も落ち着き席につく。
「お疲れ〜。王子様の方もすごかったよ。肩書き呼ばわりとか最低!ってフォローされてた」
ため息を吐くと、にっこり笑ったモモが来た。
そういえばモモは意味が分からない言葉を残していった。あの時の「いいこと」は蒼と付き合えたことだろうか。つまり予測していた?
それだけじゃない。「本当に好きなのか聞いといて」という台詞は何なのか。
「……ねぇ、モモ。あの動画流したのモモでしょ。蒼が桐島さんと付き合ってないって、僕に分からせるために本当に好きなのか聞かせたんだ。ついでに桐島さんが酷い台詞を吐いてくれればこの学校から桐島さんは消える。モモの今までしてきたことは全部、桐島さんを消すため?」
モモは見たことないくらい悪どい顔をした。
「正解」
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埋夜冬(プロフ) - ウェーイさん» 喜んでいただけているご様子ですね!嬉しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ウェーイ - (*^▽^*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ!!無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - (^∇^) (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます!もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1
作成日時:2019年3月5日 23時