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気を抜いたつもりはなかった。だが麗には気が緩んでいるように見えたのだろう。何てことだ。Aは盛大に驚いていた。クラスメイトにも注目されていた。Aが嫌がること尽くしだ。

嫌われてしまった。他でもないAに。片想い中の相手に。

蒼の顔は嫌われてたという恐怖で真っ青だ。麗に手を引かれている蒼はされるがまま何処かに連れていかれていた。

「さて、分かったかしら?」

麗が蒼を連れてきたのは「キスして」と迫ったあの場所だ。人気もない、誰にも聞かれたくない話をするのに最適な場所。

「私に逆らうとどうなるか」

麗は腕を組んで蒼を睨む。その顔は恋人に見せるそれではなかった。

「……逆らっては、ないと思うのですが……」

「逆らったわ!あの時私は、兄弟のことをバラされたくないなら私の恋人になりなさいと言ったのよ!」

それの何が逆らったに入るのか蒼には分からない。確かに自分はAのことを見ているときの方が多かったかもしれない。Aが見ていないところで蒼はよくAを目で追っている。

「分からないの!?私は恋人なのよ。何よりも優先してちょうだい。あの根暗をもう見ないで!これはお願いじゃなくて命令よ。守らないのであれば、」

麗は悪魔のように口許に笑みを浮かべた。

「兄弟のことをバラすだけよ。それも楽しそうだわ。貴方はあの根暗に嫌われるし、根暗は陰口を叩かれて変な注目を浴びてズタズタね。私以外み〜んなバッドエンドになる。ふふっ」

蒼はそんな未来を想像した。蒼は今より自分を責め、Aは陰口や注目に押し潰され、確実に関係に亀裂が入った未来。
そんなもの、想像しただけで病んでしまいそうだ。

「すみませんでした。だから、バラすのだけは……」

蒼は麗に頭を下げた。そんな蒼を麗は冷ややかな目で見下した。自分は今王子様より上のカーストにいる。桐島財閥の者として常に頂点にいるべきである麗はこの瞬間を脳裏に焼き付けた。

「いいわ。今回は許してあげる。でも覚えておいてちょうだいね。貴方は私に逆らえない。常に私を一番に考えて」

あの根暗と王子様が兄弟という話は本当に麗が我慢ならないときに使うのだ。こんなところで使うほど、麗も馬鹿ではない。

「……分かりました」

蒼の返事に、麗はフンッと鼻を鳴らして教室に戻っていった。

蒼はたはだ強く、拳を握りしめた。

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埋夜冬(プロフ) - ウェーイさん» 喜んでいただけているご様子ですね!嬉しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ウェーイ - (*^▽^*) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 600bb56534 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - アギャァァァァァァ!!無理尊い、辛い、泣けるンゴ、吐血するンゴ、つかしたんご (2019年9月19日 22時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
カナ - (^∇^) (2019年7月13日 14時) (レス) id: 99b9fc8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - カナさん» ありがとうございます!もうすぐ終わりますのでお楽しみに☆ (2019年7月12日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作者ホームページ:http://uratuku/sounewawawa1  
作成日時:2019年3月5日 23時

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