兎6匹 ページ9
それは、昼休みの廊下での出来事だった。彩兎は体育科の遠藤に保健室へ戻るところを止められた。遠藤は確か、Aと殴り合いをした教師だ。あの形相からして、言われることは多分……。
「天崎が今保健室登校をしていると聞きましたが」
ああ、やはり。遠藤は転校当初から学校の規律を乱すAを毛嫌いしている。面倒くさいのに捕まってしまったと、彩兎は微笑みの裏に思った。
「そうですが、それがどうかしましたか？」
首をかしげて問うと遠藤先生は顰め面をする。
「体調も悪くないのに保健室とは。ああいうのがいるから我が校の規律が乱れだらしない奴が増えていく」
はぁ、と顔を覆い溜め息をついた遠藤先生は私の表情を見て目を見開いた。
「今の言葉、訂正してください」
私は今、とても怒っている。
「一教師が発していい言葉ではないと思いますよ。彼は今とても頑張っています。来たくもない学校に登校しているだけでも、他の言うことを聞かない学校の生徒よりも偉いことです。現にあれから彼は喧嘩をしていないでしょう。貴方の今の言葉はゆっくりですが変わろうとしている彼を侮辱しています」
なので、訂正してください。と彩兎は遠藤の目を見据えた。こんなにはっきり事を言ったのはいつ以来だろうか。
「し、しかし学校に来ているならば勉強をしなければ意味がないでしょう！」
遠藤も食い下がる気はないらしい。先ほどよりも荒っぽく言葉を連ねた。いいだろう。大切なAの頑張りを侮辱するのであればこちらも食い下がる気はない。
「しゃーしぃわデブ」
向こうからやって来たAは開口一番に遠藤をデブ呼ばわりした。いきなりの登場に彩兎は何度も瞬きをする。
「どうしてここに？」
「あんたが遅いからとよ！どんだけ待たせると！？」
それから遠藤をギロリと睨んだ。
「そがんこつコイツに言わんと、俺に直接言わんかいな！たいがいにせんとくらすぞ！！」
「なっ……！！」
顔を赤くして怒る遠藤を他所に、Aは彩兎の手を引いて保健室まで直行する。怒っているのに彩兎を掴む手は優しい。
「………ありがとうな」
保健室まで戻る途中、Aは小さな声で呟いた。
「初めてばい。頑張ってるって言われたん」
ちょうどその時、保健室に着いた。中に入り扉を閉めてから彩兎はこちらに顔を向けないAの髪を撫でた。
「天崎くんはとても頑張っていますよ」
「ｯ――――！な、撫でんでよか！」
スタスタと歩いたAは定位置のソファーに座り黒猫のぬいぐるみを抱きしめた。
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埋夜冬(プロフ) - 。#vllさん» そうなんですか！？これの発案者は作者のお友達なんですけど、その子がどうしても兎を名前に入れたいって言ってました。ヤンデレ好きなので関係しているかもしれないですね！最後までお読みくださりありがとうございました！ (2019年10月25日 23時) (
レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
。#vll - 兎系の人はやんでれと聞いたことがあります、彩兎くんの名前と関係してそー。と勝手に考えていました。とても面白い作品でした。♪ヽ(´▽｀)/ (2019年10月25日 12時) (レス) id: 01ebef5845 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 紫園さん» どうもありがとうございます！二人とも尊く書けたのからよかったです！方言は私も書いてて楽しかったです！この作品を好きになっていただきありがとうございました！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
紫園(プロフ) - 最後までお疲れ様でした！本当に尊い2人です(´；ω；｀)方言とかも最高でした！ (2019年4月28日 16時) (レス) id: a3fbe17e50 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 李守文さん» 嬉しい限りですありがとうございます！！！私も博多弁書いてて楽しかったです！そして同じように日常で使いました(笑) 今後も作品を出していきますのでどうぞよろしくお願いします！この作品を好きにいただいてありがとうございました♪ (2019年4月27日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年1月26日 16時
