兎4匹 ページ7
「明日デートに行きましょう」
「は！？」
爽やかな笑顔で告げたのは高田彩兎。それは放課後、保健室で過ごしたAが帰ろうとしたときに発された一言だった。
一目惚れした相手からデートの誘いが来ることは嬉しいが、色々おかしい。「意味分からんこいつ何言うとると！？」と脳内でぐるぐる考えを巡らしたAはとりあえず表面上は彩兎を睨むように見つめてから言った。
「……行く」
かくして、今日の休日は彩兎とのデートの日だ。A的には少しおしゃれをしてきたつもりだが服が少ない。結果部屋着と似たようなものになった。
「お待たせしました」
待ち合わせ場所に来た彩兎は薄紫の上着に白いシャツ、下に向かって細くなっていくズボンという服装。柔らかい雰囲気というか中性的な雰囲気が増した。Aの心臓がドキリと音を立てたのは言うまでもない。
「何処行くと？」
にこやかに笑った彩兎は一言、
「備品を買いにです」
と告げた。対してAはあぁ！？と声を荒けげる。
「備品！？そげなもん買うために俺を誘ったと！？」
「備品は大事ですよ？天崎くんが怪我したら手当てができなくなってしまいます」
確かにそれは困る。うぐ……と言葉を詰まらせたAは敗けだ。微笑みを浮かべる彩兎に付いていくしかない。
結局大量の備品を買い、荷物持ちを担当する羽目になったAは不機嫌だ。だが良く考えれば一目惚れした好きな相手と一緒に買い物したということになる。まあいいかと思ってしまうAは相当だ。
「今日はありがとうございました。お礼と言っては何ですが……これを」
帰り道を歩いていると彩兎がポケットから何かを取り出した。
「これ何と？」
渡されたのは目付きの悪い黒猫のキーホルダーだ。
「見つけたとき、天崎くんにそっくりだと思って買っちゃいました。このキーホルダーは私とお揃いで、あと私の家にぬいぐるみが置いてありますよ。保健室には明日持ってきます」
黒猫は確かにAにそっくりだ。特にこの目付きの悪さが。
文句を言おうと口を開けると同時に彩兎が言う。
「これでずっと、傍で感じられると思って」
蕩けるような笑みだ。そうなることが心底嬉しいと言うような甘い笑顔。Aは何も言えなくなってしまった。
「さ、帰りましょうか」
何事もなかったように会話を再開する彩兎。このときAは彩兎の言葉の真意を知らない。
傍にいることが、彩兎にどんな意味をもたらすのかも――――――――――。
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埋夜冬(プロフ) - 。#vllさん» そうなんですか！？これの発案者は作者のお友達なんですけど、その子がどうしても兎を名前に入れたいって言ってました。ヤンデレ好きなので関係しているかもしれないですね！最後までお読みくださりありがとうございました！ (2019年10月25日 23時) (
レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
。#vll - 兎系の人はやんでれと聞いたことがあります、彩兎くんの名前と関係してそー。と勝手に考えていました。とても面白い作品でした。♪ヽ(´▽｀)/ (2019年10月25日 12時) (レス) id: 01ebef5845 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 紫園さん» どうもありがとうございます！二人とも尊く書けたのからよかったです！方言は私も書いてて楽しかったです！この作品を好きになっていただきありがとうございました！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
紫園(プロフ) - 最後までお疲れ様でした！本当に尊い2人です(´；ω；｀)方言とかも最高でした！ (2019年4月28日 16時) (レス) id: a3fbe17e50 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 李守文さん» 嬉しい限りですありがとうございます！！！私も博多弁書いてて楽しかったです！そして同じように日常で使いました(笑) 今後も作品を出していきますのでどうぞよろしくお願いします！この作品を好きにいただいてありがとうございました♪ (2019年4月27日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年1月26日 16時
