兎3匹 ページ6
Aが保健室に登校してくるようになってから１ヶ月が経った。保健室に来る生徒はAの姿を見てはすぐに扉を閉めていく。大方が女子だった。元気そうであったし、多分ほとんどの女子生徒は彩兎目当てなのだろう。
今日もAがいると分かっていても彩兎を見に来るうざったい女子達を睨んで退散させていく。
「こら。睨んではいけませんよ。本当に体調が悪い子だったらどうするんですか」
失礼しましたッ！と逃げていく女子が去ってから、彩兎は溜め息をついた。
「あれで体調悪いとは思えんばい」
Aはふいっと顔を背ける。実際、体調が悪いときは顔色も悪いのだ。ここに入る前まできゃっきゃっと騒いでいた女子など騒がしくなるだけで、迷惑だ。
その姿に彩兎は仕方ないとまた溜め息を吐いた。
「少し職員室に行ってきます。すぐ戻りますから、誰か来たら何があったのかしっかり聞いてくださいね」
「分かっとるばい」
つまり彩兎が普段していることと同じことをすればいい。まあ、自分には絶対できないからとりあえず睨む。とAは彩兎が行ってから考えた。彩兎のような優しくて儚い雰囲気や、落ち着くトーンで何があったか聞くなんてAには出来ない。
初めの10分は待った。Aは暇が嫌いだ。なので保健室の中を出来る範囲で捜索していた。バレたら困るなんてものは置いてない。流石彩兎だ。
20分なって流石に遅いのではと心配になった。立ち上がったAは周りの存在１つ１つを睨み付けながら職員室へ行く。扉を開けようと手を伸ばした瞬間、ガラリと目の前が開く。
「おや？どうしたんです、天崎くん」
「あんたが遅いからたい！はよせな！」
遅くなった原因は多分、彩兎が持っている段ボールだろう。Aは奪うようにそれを取り上げた。
「保健室までと？」
「あ、はい」
Aが荷物を持ったことに驚いたのか、彩兎はぱちぱちと瞬きをする。対してAは相変わらず周りを睨みながら保健室まで荷物を持った。
「助かりました。重かったでしょう？」
「別に何ともないたい」
さすがの彩兎にも自分がAにとって大切な位置にいることが分かったらしい。心の変化に喜んだ彩兎はそっぽを向くAの髪を撫でた。
「ありがとうございます」
ふわりと開く花のような微笑みを直視してしまったAはきゅっと心臓が痛くなった。出来れば顔に出てないと良いが、とどんどん熱くなる顔を手で隠しながら思ったのだった。
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埋夜冬(プロフ) - 。#vllさん» そうなんですか！？これの発案者は作者のお友達なんですけど、その子がどうしても兎を名前に入れたいって言ってました。ヤンデレ好きなので関係しているかもしれないですね！最後までお読みくださりありがとうございました！ (2019年10月25日 23時) (
レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
。#vll - 兎系の人はやんでれと聞いたことがあります、彩兎くんの名前と関係してそー。と勝手に考えていました。とても面白い作品でした。♪ヽ(´▽｀)/ (2019年10月25日 12時) (レス) id: 01ebef5845 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 紫園さん» どうもありがとうございます！二人とも尊く書けたのからよかったです！方言は私も書いてて楽しかったです！この作品を好きになっていただきありがとうございました！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
紫園(プロフ) - 最後までお疲れ様でした！本当に尊い2人です(´；ω；｀)方言とかも最高でした！ (2019年4月28日 16時) (レス) id: a3fbe17e50 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 李守文さん» 嬉しい限りですありがとうございます！！！私も博多弁書いてて楽しかったです！そして同じように日常で使いました(笑) 今後も作品を出していきますのでどうぞよろしくお願いします！この作品を好きにいただいてありがとうございました♪ (2019年4月27日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2019年1月26日 16時
