願い 9 ページ10
悪魔を見たAは薄く笑った。
「そんな顔しないでよ。君、仮にも悪魔なんでしょ?もっと恐ろしいオーラとか威厳とか出せないの?」
「しっ、仕方ないだろ!俺はこういう性格なんだ!そもそも、初めは威厳ありまくりだったのに雰囲気ぶち壊したのはお前だろ!」
朝起きて目を開けた瞬間「おはよう人間!」と言うのが威厳があるかはどうとして、この悪魔はある意味素直なのだ。子供のように。
「あぁ、そうだ。A、俺の名前を付けてくれないか?」
「嫌」
「何で!?」
逆に早くいなくなってほしいのに何故名前を付けると思ったのか。というか、そんなペットみたいな感覚で人間が名前を付けてもいいのだろうか。
「いいじゃないか〜、減るものではないだろ〜。こう、パッと思い付いたものでも良いから〜。あ、だがかっこいいのを付けてくれ!悪魔っぽいもので頼むぞ」
注文が多いな。面倒だ。
「えー、じゃああのアラビアンな映画に出てくる青くてランプから出る――――」
「それ多分ダメなやつだよな!?」
やはり著作権法に引っ掛かるのか。あれは有名なアニメ映画だからな。
じゃあ何がいいんだよ……。と考えているとちょうどテレビで悪魔について話していた。偶然出たのが「オロバス」という悪魔だ。
ちょうどいい。それに近い名前にでもしよう。
「じゃあ、オルバ」
悪魔からの否定の言葉がない。悪魔の方を向くと、悪魔はキラキラと目を輝かせてこちらを見ていた。何でそんなに目がキラキラできるんだ、悪魔なのに。
「オルバ!!良い名だな!とても気に入ったぞ!これからはオルバと呼んでくれ!俺もお前のことはAと呼ぶからな!」
こんなに喜ばれるとは……。コイツやっぱり悪魔じゃなくて子供の幽霊なのでは?
「はいはい。勝手にして」
そろそろパソコンでも弄って確認しないとな、とAはパソコンを起動した。
「いやー、良かった。契約も成立したし順調だ」
「は?契約!?」
聞いてない!契約ってなんだ!
悪魔はきょとんとしてこちらを見ている。
「名前を付けたのだから、主従の契約の証だろう。俺は俺の仕事を全うするまでお前から離れられなくなったんだ。つまり、家から離れてもお前の気を辿って帰ってこれるように進化した!これで外に出放題だ!」
「……詐欺だ…」
相手は悪魔だ。下手に言うこと聞くんじゃなかった…。
「なかったことには」
「出来るわけないだろ」
Aはオルバを睨み唸るような声で言った。
「……悪魔め」
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ルティン - はい!応援しています!また読みに来ますね! (2021年8月3日 18時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ルティンさん» 嬉しい限りです!!この作品をこんなに好きになって下さりありがとうございます!これからもっと精進致しますのでよろしくお願いします! (2021年8月3日 16時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ルティン - この作品ほんとすごい!もう3回も読み返しています…!しかも期間を空けて!何度も読みたくなる、素晴らしい作品をありがとうございます!!これからも頑張ってくださいね!! (2021年8月3日 15時) (レス) id: bdebe086bb (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゆきさん» うわぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!泣かせたかったので泣かせられたなら満足です(笑)最後までお読みくださりありがとうございました! (2020年7月11日 9時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一言いいですか?...神作者じゃないですか!?貴方様の小説最高すぎるんですよ?!思わず泣いちゃったじゃないですか!...以上、長文失礼致しました。 (2020年7月11日 9時) (レス) id: 1ca0293e4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年12月7日 8時