世界一綺麗な音【宇髄天元】

6音目 ページ8

"きさつたい"





"居場所"






痛くもない


冷たくもない


暖かくて優しい場所


私はそれを信じてしのぶさんに話した





__ゆっくりでもいいですから
気持ちが落ち着くまで私に伝えてください
最後まで傍に居ますし、最後まできちんと聞きますから___




泣いて声が出ない私の背中をさすって何度も声をかけてくれた





本当に優しい人




『誰もっ……………話を聞いてくれなかったっ…

私はおばさんがっ、ｹﾞﾎｯ……大好きだったのに……っ

殺したのは私じゃないのにっ……

それからどんどん暴力が増えてって…………、お客さんも私に暴力を………………


それでっ、あの日………………っ

お前を養ってるのは俺だ……とかっ、

殺して俺のものに……ｽﾞｽﾞｯ……とか……』


しのぶさんの音は……

どこか寂しくて……怒っているような音がする……

でもそれを覆うくらいの優しくて暖かい音が私の耳に響いている

もう、怖くない……


「それで貴女は怖くて逃げたのですか？」






『はい……っ、死んでもいいって思っていたのに……




月が………………月が、とても綺麗で……もっと見たくて……幸せになりたくてっ……





生きていたく、なった…………っ



そしたら、痛いもの全部どうでも良くなって………………気がついたら逃げてて



それで……っ』






「俺に助けられたんだよな、」




『………………ぇ』


どうして…………ここに……？




「起きたって聞いたからよ

来てみたらなんか地味に大事な話してるしよぉ……」



『全部……聞いてました…………？』


「おう、俺は元忍の宇髄天元様だぜ？

気配消すのも得意だし、情報収集も得意なんだよ」



忍……？？

忍者？


『にんにん』

「合ってるけど言わねーからなwww？」




…………笑う姿もかっこいいなぁ……




「それで、連れ帰った俺がお前を引き取るんだけどよ

ここに居たいなら残ってもいいが……どうしたい？」




……？

どうしたいって……？

私の意志を聞いているの？



…………わかんない、考えたこと無かったから

どうしよう……速く答えないと




「落ち着け、大丈夫だっての……

んな地味に考える事じゃねぇよ


派手に勘で決めろ、それでも決めれねぇならいい事教えてやる」



『いい、こと？』



「おう、これで決めろ」


宇髄天元さんが紙を2つ取り出して、




胡蝶

俺様



と書いて小さく折りたたみ、混ぜて両手で握った




「どっちか選べ」

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