検索窓
今日:27 hit、昨日:54 hit、合計:18,359 hit

掴んで離さない。 ページ17




私の聞きたい事を聞くよりもまず初めに、エンマの説教から始まった。




「A、次から気をつけろよな」



眉を下げて、エンマは私の前で腕を組んで座った。



「あんなに酔って、あんな格好で。あまりにも無防備すぎるぜ?」


「私、あの、…なんでもございません」



エンマに対抗しようと口を開いてはみたが、何も反論できずに、静かに口を閉じた。




「おとも妖怪もAはつけようとしないだろう?危ねぇよ」


「ぁ、えっと……そういえばエンマはなぜ昨日のあんな時間に私の所に…?」


無理矢理話を変えるために、気になっていた事を言った。




「ん?あぁ…俺か?」


エンマは私をチラリと見た後、プイッと顔を背けた。




「たまたま仕事が終わって暇だったからAの所に向かっただけだ」

「そうなんだ。お仕事、お疲れ様です」

「ん」



エンマは柔らかく目を細め、微笑むものだから、ドキッとした。
あぁ、本当に、あなたって妖怪は……。




「そういえば…私、昨日お風呂とかは……」

「…ん?あぁ」

「えっと自分で入ってましたか?」

「……あぁ」




謎の間があった気がする。
え、まさか…エンマが…



「…安心しろ。俺じゃない。ここで働く女性妖怪だ。気にしなくていい……」



女性妖怪だ、と言われてもホッとはしない。
恥ずかしい。だけど、俺です。と言われるよりはマシだなと思ってしまった。

俺が入れた、なんて言われてたらきっと窓から飛び降りていたに違いない。





***





「エンマ、昨夜は本当にありがとう」

「次からは気をつけろよ」

「うん」




エンマと朝食を終え、エンマはまた新たな仕事があるみたいなので私は帰ることにした。


私は断ったが、エンマには、屋敷前にあるうんがい鏡まで送ってもらってしまった。



「伝えそびれていたんだが…Aの昨日の浴衣姿…その、すげぇ…」

「え?」


「……好きだ」



好き…?



ブワッと勢いよく顔が熱くなる。
別れ際になんて事を言うのだろうか!


「え、あ!ありがとう!!」


「よく似合っていた」


「…ありがとう…!!えっと、それじゃあ!!」



エンマの顔なんて見れない。急いで背を向けて、うんがい鏡に飛び込んだ。


そして、家に入った途端、座り込んだ。


エンマ、エンマ…あぁ、本当に。
両手で顔を覆い、私はため息がこぼれた。



本当にずるい。

私が忘れようとすればするほど、彼は私を掴んで離してはくれないみたいだ。

溢れて止まらない。→←こんがらがる。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (96 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
63人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- yuiさん» yui様、好きと言っていただけて、こちらもきゅんきゅんしております( ´ ▽ ` )これから、もっとキュンキュンさせられるように頑張りますね!コメントありがとうございます(^^) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
- GHJさん» GHJ様、素敵なコメントをありがとうございます!返信が途方もなく遅くなってしまい、申し訳ございません…!これから再開していきますので、よろしくお願いします(*^^*) (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
- 花音さん» 花音様、お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。そう言っていただけて光栄です(^^)またぼちぼち再開していきますので、よろしくお願いします! (2022年8月4日 20時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
yui - めっっっちゃ好きですこの話...凄いキュンキュンして、一人で悶えてます...... 執筆お疲れ様でした♪ (2022年1月22日 15時) (レス) @page20 id: 091807da6e (このIDを非表示/違反報告)
GHJ - 読んでいると楽しくなりすぎてもう全て読み終わっちゃいました><続き楽しみにしてます! (2021年12月5日 20時) (レス) @page20 id: 0fb369d062 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月18日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。