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時刻は18時過ぎ、電車から降りた私は都内一等地にあるマンションへと足を進めてエントランスを潜った。彼と付き合い始めてからこのマンションへと越してきて、今では同棲を始めてから1年目になる。
慣れた手つきで部屋の鍵を開いて中に入ると、「ただいまー!」と声を上げてパンプスを脱いだ。
「おかえりぃ」
すぐそこにあるリビングの扉から顔をひょっこりと出した亮くんをジト目で見つめる。こちとら一日中人混みに揉まれ”吉沢亮熱愛”の記事を耳に挟みながら仕事をしてきたというのに、彼はパジャマ姿のままだった。おまけに髪の毛はぐちゃぐちゃで髭も生えている。
『オフすぎない??』
「オフはオフだもの!!!」
そう言いながらご機嫌でリビングへと戻っていく彼へと苦笑しながら、私は寝室の方に入りカバンを置いてスーツを脱ぐ。自分側のクローゼットを開いてスーツのシワを伸ばしてから部屋着に着替え、リビングへと足を運べばそれはもう楽しんだ痕跡がたくさん残っていた。
『亮くんお片付けして〜』
「はいはーい、今日の夕飯何??」
『オムレツですよ〜』
キッチンで手を洗って支度をしている間にリビングの片付けをする彼の後ろ姿を見て頰が緩んだ。全くどっちが年上か年下か分からない、そう思いながら挽肉を取り出して油を入れたフライパンへと投入した。
「そういえばいつも行ってるスーパーで写真撮られたじゃん?」
『うん』
「記者がそこ張ってるらしいから気をつけてってマネが言ってた」
そう言いながらキッチンにマグカップを持ってきた彼を見上げて「マジ??」と聞き返すと、「マジ」と彼は私を見下ろすように目を見つめた。確かに私達が週刊誌に撮られた写真はスーパーから出てくる所とその帰り道だった、途中で気がついて撒いたお陰でこのマンションはバレていない。
世に出回った写真は目元が隠されていたとは言え、向こうでは生写真をリークしあってる可能性も捨てきれない。それにいくら目元を隠されてたとしても口元や髪型に身体つきはわかってしまう、もし次に写真を撮られたら顔を晒される事もあるかもしれないです、そうなれば私も仕事どころで無くなってしまう。
『あそこのスーパー近いし品揃えいいからお気に入りだったのに!!』
「ごめんって、暫くは別のスーパーを使うようにしよう??」
その言葉に私は口先を尖らせながら「はーい」と返事をした。
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〜空〜(プロフ) - 続き楽しみにしてます!! (2020年12月18日 18時) (レス) id: 0dde4696e9 (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 続き気になります!更新待ってます! (2020年10月7日 0時) (レス) id: 1c6164a0e9 (このIDを非表示/違反報告)
mono(プロフ) - Chiroruさん» ありがとうございます!!ご指摘ありがとうございます、どうしてもズレてしまうようで汗 これからもご愛読よろしくお願いいたします!! (2020年8月13日 18時) (レス) id: 51c364b744 (このIDを非表示/違反報告)
Chiroru - monoさん!毎日更新されるのがたのしみです!!また、23、24、23となってます! (2020年8月7日 23時) (レス) id: d654b36b98 (このIDを非表示/違反報告)
mono(プロフ) - uka8502さん» ありがとうございます! (2020年8月3日 14時) (レス) id: 51c364b744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mono | 作成日時:2020年7月26日 20時