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目黒「…で？」
俺「だから、思ったより甘〜い台詞とかあったりして、どんな顔すればいいか分かんないの！」
あれから、順調に顔合わせや打ち合わせなど進み。
もらった台本を見て絶句した。
いや、原作読んだ時から覚悟はしてたけどね？
いざ決まると、ねえ？
だからこうやって、いつものようにめめに相談してるんだけど、何だかいつもと違って、めめが冷たい。
目黒「少女漫画なんだから当たり前だろ」
俺「いや、そうだけどぉ。ほら、キスシーン、とかもあったりするじゃん」
恥ずかしくてもごもごと喋っていると、めめが勢い良く立ち上がった。
俺「え、何？」
目黒「代わろうか？俺。金髪にするよ」
俺「え…い、嫌だし！」
目黒「じゃあ文句言うな」
俺「分かってるよぉ…」
目がガチなめめに怒られ、それ以上言うのはやめにした。
なんか本気でキレられそうだし。
そして撮影が始まると。
何を隠そう、普通に楽しかった！
他の共演者の人達も明るくて優しいし、いい雰囲気。
朝比奈「何かこうやって制服着て歩いてると、普段の学校の時と変わらないね」
俺「それ思った。やっぱりAとでよかった」
羽花の役はAにぴったりで。
最近特に演技のお仕事に興味津々のAも楽しそうで。
無事、クランクアップも近づく中。
俺「キスってどうやるの！？」
目黒「…」
ついに大きな壁が近づいて来て、まためめに泣きついた。
目黒「前に教えたじゃん」
俺「それってAにも使える？」
目黒「逆にA用のキスの仕方があるのか？」
俺「え？」
目黒「え？」
結局２人してパニックになって、あーでもない、こーでもないと言いながら夜を明かした。
そして本番当日。
朝比奈「緊張してる？」
イルミネーションの光に照らされるAは、余裕たっぷりの顔で覗き込んできた。
俺「…してない」
朝比奈「ふーん」
俺「にやにやしないで」
おでこをぺしっと小突くと、大袈裟に痛がってみせる。
かと思えば「今日のご飯何かなー」なんて呟く、緊張感ない彼女。
こっちは心臓の音がうるさいくらい緊張してるっていうのにさ。
そしてシーンを撮り終え、カットがかかってからは、まともにAの目が見れなかった。
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作者名：うさみ
| 作成日時：2023年7月19日 19時
