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撮影終了後、次の現場は朝比奈さんと一緒なので、二人とスタッフさん達に挨拶をして、マネージャーさんの車に乗り込んだ。
朝比奈「どうしたの？」
俺「え？」
朝比奈「目黒さん、途中からなんか表情暗かったから」
隣に座る朝比奈さんが、心配そうに俺の顔を覗き込む。
顔に出ちゃってたか。
俺「…なんかもやもやして。もうあの二人とあんなに仲良くなってんだなって」
朝比奈「健人くんと紫耀くん？」
俺「それ」
朝比奈さんは何の事だと首を傾げる。
俺「名前で呼んでるし」
朝比奈「あ、うん。二人がそう呼んでって」
俺「俺の事は目黒さんなのに？」
朝比奈「え？」
あ、しまった。
思わず年下の女の子に見せてしまった、子供っぽい所。
俺「いや、何でもない」
朝比奈「蓮くん」
余裕がないのを隠すように両手で顔を覆う。
その直後、朝比奈さんの口から聞こえたのは俺の名前に、再び顔を上げた。
朝比奈「蓮くん…は恥ずかしいから、やっぱめめ、めめさんとか？」
俺「蓮でいいよ」
朝比奈「アンチが増える」
俺「俺もAって呼ぶから、お互い名前で呼ぼうよ」
朝比奈「めめさん」
俺「蓮」
その後暫くお互い譲らず。
そして現場に着く頃。
朝比奈「やっぱめめさん」
俺「…せめてさんはやめて」
朝比奈「めめ」
俺「ん、それでいいよ」
目黒さん、よりはまた少し距離が縮まったんじゃないか。
そう思う事で何とか自分を納得させた。
マネージャーさんの車を降りると、Aは伸びをして。
朝比奈「健人くんと紫耀くんには、こんなわがまま言えないんだよ」
俺「ん？」
朝比奈「めめだから、私も甘えちゃってるのかも」
そう言って笑顔を見せるA。
無事にノックアウトされた俺。
もっと甘やかしてあげたくなって、今日うちでご飯食べようって誘ったけど、それは無理と即答された。
もう一人の末っ子と違って、こっちの末っ子を甘やかすのは難しいな。
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作者名：うさみ
| 作成日時：2023年7月19日 19時
