代わり@紫 ページ46
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深澤 side
母「A、部屋から出てこれないの」
俺「え？」
退院した次の日。
照とラウと彼女の家へ訪れると、彼女のお母さんが困った顔でそう言った。
阿部ちゃんから聞いた話によると、朝比奈ちゃんは誰かに意図的に怪我をさせられた。
お父さんとお母さんに謝ると、君たちのせいじゃないって言ってくれたけど。
「僕達が朝比奈さんを守ります」なんてよく言えたもんだ。
大事な娘さんに、怪我なんか負わせて。
どうしても顔が見たくて、毎日諦めずに通った。
母「あなた達も忙しいだろうし、また元気になったらこちらから連絡するから」
そうお母さんからやんわりと断られてからは、インターホンを押さずに、毎日同じ時間に家の外で彼女が出てきてくれるのを待った。
途中、ラウが「僕、Aに会うのが怖い」って言い出してからは、一人で通った。
俺だって怖い気持ちがないわけじゃないけど、やっぱり顔を見て、大丈夫だよって直接言いたくて。
岩本「今日も行くの？」
俺「行くよ」
岩本「ふっか、大丈夫だよ。朝比奈さんは、ちゃんと帰ってくるよ」
俺「…それでも、これは俺の自己満みたいなもんだからさ」
照みたいに信じて待てたらいいんだけど。
「辞めたい」なんて言い出したら、絶対に一番に止めたいというのも理由のひとつ。
警察「君、ここの家の人とどういう関係？」
俺「へ？」
いつものように朝比奈ちゃんの家の前で待っていたら、お巡りさんに声を掛けられた。
どうやら俺は怪しかったらしい。そりゃそうだ。
俺「や、ちょっと人待ってて」
警察「待ち合わせ？」
俺「と、いうわけでは…」
警察「…君、名前は？」
俺「その、」
朝比奈「ふっかさん！」
しどろもどろになる中、勢いよく玄関のドアが開いて、走ってくる朝比奈ちゃん。
警察「お嬢さん、このお兄さんとの関係は？」
朝比奈「メン…」
俺の服をギュッと握り締める朝比奈ちゃんは、メンバー、と言い掛けて口を閉じる。
朝比奈「か、彼氏、です！！」
そして一瞬考えたように黙り込んだ後、何故か顔を赤くし、お巡りさんにそう宣言した。
警察「…なんだ、痴話喧嘩か。仲良くしなさいよ〜」
呆れたように自転車に跨がり、行ってしまったお巡りさん。
朝比奈「…上がっていってください」
朝比奈ちゃんがそう言うので、話もしたいし、お言葉に甘えさせてもらう事にした。
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作者名：うさみ
| 作成日時：2023年7月8日 14時
