イチバンボシ。 (ページ17)

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何通りか着て踊ってもらうと、朝比奈さんにも何となく要領が掴めてきたようで。

朝比奈「ここはもっと飾りあっても大丈夫かもです。あと、ここはシュッとした方が、背が高く見えるかも」

俺「うんうん」

やっと他の人のように意見を交わせるようになった頃。

スタ「でも女の子なんだし、一曲くらいスカートあった方がいいんじゃない？」

朝比奈「…」

通りかかったスタッフさんにそう言われて、表情を曇らせてしまった彼女。

俺「朝比奈さんは、どう？スカート履きたい？」

スタッフさんに隠れてこっそり聞くと、小さく首を振った。

俺「いや、今回はスカートは辞めておきましょう。初めてのコンサートだから、スカートに気を取られて動きが悪くなったりするのは本末転倒だし」

スタ「んー、そっか」

少し声を張り、スタッフさんにはっきりとそう告げると、何とか納得してもらえたようで。

くいっと袖を引かれて、顔を寄せてきた朝比奈さん。

朝比奈「宮舘さん。ありがとうございます」

俺「いえいえ。こういうのは朝比奈さんの気持ちが大事だからね」

朝比奈「スカート、絶対に履きたくないってわけじゃないんです。アイドルする以上、求められるものは返していきたいし。でも、」

俺「朝比奈さん。無理しないでね」

朝比奈「…宮舘さんが気を遣ってくださった事が嬉しいです。ありがとうございます」

まだ中学三年生の彼女。

しっかりしているのは良い事だけど…

俺「もうちょっと、肩の力抜いてもいいんだよ？」

せめて、俺やメンバーの前では。

そんな朝比奈さんは困ったように笑った。

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