花を咲かせて Ⅷ (ページ26)

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SC『今度の休み、一回日本に帰ったら？』

　『なんで？』

SC『…ほら色々あるだろ』

　『色々なんてないよ』

SC『あのさ、A』

　『スンチョラ』

SC『……』

　『わざわざ帰ってまですることも、したいことも何もないよ』

どこか冷んやりとした目と、突き放すような言葉と。

それを真正面から食らった瞬間に“ああ、踏み込み過ぎたんだな”とそう思った。

変な意地を張ってごめんとウォヌの家から帰ってきたAが言った。

一体ウォヌと過ごした時間の中にどんな心境の変化があったのか、その謝罪のあとに続いたのは「自分と一緒に日本に帰ってほしい」ってそんな誘いの言葉。

正直、驚いた。あんな風に帰ることを拒んでいたAが今更帰ると言ってきたことも、それに自分を連れて行こうとしていることも。

SC『なんで俺？』

　『１人で行くのは怖いから？』

SC『…怖い？』

　『そう。だからスンチョルにいてほしい』

Aが“帰らない”と頑なに言い続ける理由は、何となくだけど知っていた。

Aのおじいちゃんが亡くなったことは、その年にAから言われていたから。

ただ、＿＿＿

SC『…代表に相談しないとな』

　『多分だけど１泊２日の弾丸だよ。弾丸』

“怖い”の意味を自分は知らなかった。もちろんAは教えてくれない。

怖いものは怖い。それは分かるけど、一体何がどうしてって。

今までAがそういう言葉を口にしたのを見たことがなかったからいつも以上に気にかかったのは、そのせいだったと思う。

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