・ ページ3
．
JS｢２人ともここにいたの？」
｢ん？」
DN｢あ、シュアヒョン」
練習室の少し手前。廊下に置かれているイスに２人仲良く座っていた人影の正体は、チャニとAだった。
何やら１枚のプリントを２人で眺めて、チャニの方が難しそうに眉間にシワを寄せている。
時々チャニがAを頼っているのを見るし、学校の宿題かな。
JS｢何してるの？」
｢チャニの日本語の勉強」
JS｢日本語？テストってこの前やらなかったっけ」
DN｢その日、僕ちょうど用事で来れなくて、休んじゃったんです」
｢追試だよね。チャニ」
DN｢だから変な言い方しないでってばー」
“追試”なんて、学生のころに聞いて以来の、なんとも懐かしい言葉を口にしたAの肩をチャニがぺしっと軽く叩く。叩かれた側のAは、あははと随分と楽しそうに笑っていた。
それに反比例するようにチャニの眉間にさらに濃くシワが刻まれる。
正直、Aが笑う理由よりもチャニの眉間のシワの意味の方が自分も理解するのは簡単だった。
自分たち練習生に与えられた課題は、日本語の先生が言った韓国語を日本語で言い直せれば合格。たったそれだけのことだけど、これが意外と難しいのだ。
お疲れ様でしたなんてよく言う言葉なのに、言語が違うってだけですごくすごく非現実的なものになる。
DN｢おはようございますは？」
｢［おはよう］」
DN｢え、じゃあおやすみなさいは？」
｢［おやすみ］」
DN｢似てる……」
｢そう？」
DN｢높은って日本語で［安い］だっけ？」
｢높은は［高い］だよ。［安い］は、싸다」
DN｢うわぁ…」
チャニを真ん中で挟むようにAの反対側のイスへ腰を下ろす。2人が持っている紙を一緒に覗き込めば、見慣れてきた韓国語とまだまだ見慣れない日本語が並んでいた。
このプリントは自分も先生からもらったものと同じだけれど、チャニはたくさんメモを取っているらしい。
見慣れない日本語の横には語呂合わせのようなものが書き込まれていた。
JS｢順調？」
DN｢ヒョン…これが順調そうに見える？」
JS｢うーん…ちょっと危ないかも笑」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊
| 作成日時：2023年1月29日 9時
