【◇】群 青 エ ー ス . 5

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A「だ、抱きしめられた…」






栄純が倉持に「思わず抱きしめたってどこのラブソングの歌詞だテメェは！！」と再び蹴られてる頃

Aは栄純のユニフォームを見つめて呟いた。









A「いやいやいや、栄純にまさかそんなつもりなかったよ、前の時と同じようなものだよきっと」








別に恋愛感情があるわけではないと思うが

恥ずかしいものは恥ずかしい。

顔と顔の距離が異常なくらい近かったし

もうとにかく色んな意味で恥ずかしかった。









A(らしくない、らしくないってば)








ぽわぽわと頭に浮かぶのは

ピッチャーとして投げの姿勢に入る時の栄純の姿。

いつもとは違う、あの目。








A(いやいやいや、ありえないありえない！！！)








その時の顔が

なぜか頭の中に残っては時々ぶわっと顔に熱を集めるのだ。

それがらしくない、とAは慌てふためくばかり。








A(あー、もう何なの、おかしい)








気を取り直して

縫い終えた糸を切った時

次に思い浮かんだのは─。








”かわいい”








A「うわぁああああああああぁぁぁ！？！？！？！？」







初めて髪型を変えた時の

感想。

そういやあの時もみんなの前で抱き寄せられた気がしてならないんだけれど。







A「今それを思い出すな！！！」







過去の自分と別れ

ちゃんとありのままのAになったからか

本来の性格そのものになったA。

ちなみに笑顔だけは元々本来のものだ。

ただ性格が迷惑かけるとダメだといい子ぶってただけで本来は結構騒がしい方。









A「栄純は違う…！！私は哲さんが大好きだから！！」







※哲さんは恋愛感情ではない。






栄純に言われたことだけでこんなになるのはおかしいとAは何とか自分を落ち着かせようとした。


そして次々思い出すさっきの発言。









─栄純が頑張ってるから私も頑張れる。








A「無理…何それ…おかしいでしょ…」








この発言に対し栄純は





─俺もAがいるから頑張れる！見とけよ！俺は絶対エースになる！





多分…いつも通り。








A(なんかもうよくわかんない…混乱が混乱を招いてる…)







ただ、ハッキリとしてることはある。








A「エースになれるよ、きっと君なら」







そんなあの人を応援したいと思う気持ち。

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