【◇】群 青 エ ー ス . 5

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Aの母親はお金持ちの家庭の娘だった。


跡継ぎとして有力な候補になっていたAの母親は

親がそうして結婚し子供を授かったように

決められた相手と結婚するはずだった。









「一族に歯向かい、裏切った挙句どこのやつかもしれない人間と結婚し子供を産むなんて」



「本当に汚い、一族の汚点だわ」









自由になりたくて


自分が愛したいと思った人と結婚した母は


自分の生まれた家を裏切ったと言われ続けた。









「子供を産むならまだしも、あんなことさせるなんて…女の子は女の子らしく育てるべきよ」



「だからやめろって言ったのに聞きやしない」








母親は自分の生まれた家と縁を切った。


大事な娘は自分が育てると決意したそうだ。


自分のように縛られることなく、自由にやりたいことをやって、生きて欲しいと。









A(何を知ってるって言うの、この人たちは)









Aが野球をやりたい！と言い出した時は

まだ縁を切ってない状況で

口うるさいAから見た祖父と祖母に酷く反対されたようだ。

でも母親はやりたいことはやらせて笑顔で育って欲しいと自分を貫いたのだ。

ほわほわしてる母親だったが1度決めたことは何を言われようと貫き通す頑固者。









─ママ！私ね、今日点を決めたんだよ！そしたら監督に褒められた！


─わぁ！すごいわね！頑張ったねA！









Aはこの話を聞いて



自分の母親は本当に幸せだったのかと思ってしまった。



自分が愛したいと思った人と結婚したと思ったら金目当てで裏切られ



子供を産めば色々言われる。



それにもし今自分がこの大人について行けば母親の願いは叶わないんじゃないかと察してしまった。









「仕方ないわよ、子供を1人にしとけば私たちの信頼性に関わる。引き取るしかない」









大きい会社の社長だかなんだか知らないけど


自分の保身のために


私を連れて行って、縛り付けるのだろうか。


母親は私に笑顔で…自由にやりたいことやって成長してほしいって思ってたのに


それでいいのかなぁ。









A「どうして…置いてくの、お母さん」









父親は大嫌いだし


顔も知らない、祖父と祖母も嫌いだ。


母親が亡くなった途端色々言い出して、私の前ではいい人ぶったって、汚いとこは隠せてないよ。

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