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自分の最後の年なんてはっきり言えばどうでもよかった。
とにかくあの時期大事だったのは
鳴と組める最後の夏だということだけで。
鳴「監督！！ちょっとタイムー！」
いつもなら捕れてた鳴の球が
ぷつん、と急に捕れなくなった。
鳴「どーしたのA、らしくないじゃん」
A「ごめん…なんかまだやっぱり調子良くないみたい、でも次は大丈夫」
鳴「ならいいけど…」
今まで感じなかった恐れ。
重なる光景。
鳴の投げるフォームが、みんなの投げる姿が
腕を振り下ろす動作が…自分の動作さえ
あの日の光景と重なるのだ。
A(違う…これは野球だよ、全然違う)
A(やらなきゃ…やり遂げなきゃ、鳴と最後までやっていたいから)
鳴は高校で野球を続けられるけれど
私は違う。
成宮鳴と雛瀬Aというバッテリーで挑める夏はシニアのこの夏しかないんだ。
それを理解してるから…知らずのうちにプレッシャーになっていた。
「また暴投か…雛瀬、落ち着け」
A「すみません」
スムーズに出来ていた鳴への返球すらまともに出来ない。
打席に入ればバットを持つ手が小刻みに震えて足がすくんで動かない。
私は完全に
あの日自分の目の前に振り下ろされた包丁と
全く関係のない野球の腕を振り下ろす動作を
重ねていた。
A(今まで出来ていたのに…感じなかったのに…どうして出来ないの)
初めて味わう
強い自分に対する悔しさ。
自分の無力さ。
完璧を求めるあまり、さらに焦っていく。
「雛瀬、お前から2番を取り上げるつもりはないが…お前の出番は後半からだ」
何度これを聞いたことだろう。
完璧なチームを支える捕手でいられなくなった瞬間も味わった。
どんどんどんどん、重くのしかかる。
鳴「監督なんで！？俺はAとじゃないと嫌だから！！」
「成宮の気持ちはよくわかるがこれはチームのためなんだ、わかってくれ、成宮もこれが中学最後だろう」
鳴「Aだって最後だよ…俺と組むの」
チームのために私は退く。
元々大して強くもなかった気持ちがぽきんと折れてしまいそうで逃げたくなった。
あの時の鳴の顔も、悔しさも忘れたことはない。
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ちあき(プロフ) - ダイヤ様さん» 個人的に1年トリオが好きなので絡ませてます！これからもガンガン更新していきますね！ (2020年2月18日 0時) (
レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ様 - ちあきさん» 243の話、かなり笑いました！！沢村の優しさと気遣いがいい…！1年トリオの反応も可愛い。更新を楽しみにしてます！！ (2020年2月17日 23時) (レス) id: f3c6ebb892 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - すずさん» ありがとうございます！！嬉しいです…！ (2020年2月16日 12時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 鳴くんの優しさにキュンキュンしました。素敵な作品ありがとうございます。これからも更新楽しみにしてます! (2020年2月16日 9時) (レス) id: ea774d1f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちあき | 作成日時：2020年2月13日 0時
