【◇】群青エース . 2 (ページ10)

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肘でつついてきたり

時々ムキになって反論すると面白そうに人の顔みてニヤニヤしたり

やっぱりAはまだ御幸のことを”先輩として”好きになれない。

栄純「A！！よろしく頼む！俺、絶対に力をつけてお前を甲子園に連れてくから！！」

そんな気も知らないで

まっすぐそんな言葉を言えてしまう栄純も栄純で

Aの調子を狂わせる存在。

倉持「気がはえーんだよ…」

春市「覚悟だけは1級品だよね、栄純くん…」

ズカズカとこっちに来ては

飼い主を守る番犬みたいに

御幸からAを引き離して

これまたキラキラした目で見つめる栄純。

いつもその目で見られるとAは必ず弱かった。

A「……わかった、そんな大声で名前呼ばないで」

A「栄純が私の夢を叶えてくるって言ったよね、なら私はエースになるっていう栄純の夢を叶えるために力になるよ」

この言葉に嘘はない。

選手がグラウンドで輝けるためなら、

なんだってすると覚悟してこの場にいる。

”あの頃”からこの気持ちは消えてない。

栄純「Aー！！」

A「ちょっとこの鼻水顔で抱きつかれるのは嫌かな」

春市「栄純くん、汚いから離れて」

栄純「Aも春っちも辛辣！！」

いつだってそうだった。

自分が輝くことよりも

選手が輝くためなら

人が輝くためならなんだって出来た。

人の力になれた時ほど嬉しい気持ちはない。

春市「はいはいわかったから、Aちゃん栄純くんのことは今はいいからちょっと休んでていいよ」

A「ありがとう春市くん」

まだ仲良くなってそんなに経ってないのに

春市くんは栄純の扱いよくわかってるなぁ…とAは思った。

そして多分これは自分と同じで栄純の面倒見るのを任されるようなタイプだとも。

A(これで少しは栄純の中にあった重い責任感と緊張は軽くなったかな)

目を擦りながらふらふらとその場を離れると

降谷がじっと栄純と倉持や春市のいる場所を見ていた。

御幸「何やってんだ？入りずれぇのか？あの中に」

そんな降谷を気にかけてか

御幸が声をかけると

降谷は何も言わずに黙って見続ける。

Aにはそれなりに喋ったけれど降谷は降谷で掴みどころがない印象があった。