【◇】群青エース . 2 (ページ32)

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A「え…あ、そう…本当に本気だったんだ」

あまりのストレートすぎる言葉に

Aは驚いた。

いや栄純がいつも馬鹿正直なことに変わりはないけれどただ話の内容が内容なだけあって…。

A「冗談かと思ってた」

栄純「だから！冗談でそんなこと言うわけねぇだろ！！」

A「あー、はいはいわかったから打ってよ」

その言葉がどういう意味なのかは分からない。

聞いたところで答えは出ないだろう。

A「ねぇ、栄純」

栄純「ん？」

こんなにも正直で

いつもそばにいてくれるのに

まだ言えてないことがある。

でもこれって、言うべきなのかな。

A「もしも私がさ、栄純よりもすっっごい野球上手い人だったらどうする？」

栄純は私のように弱くない。

きっと、私の夢を代わりに叶えてくれる。

その強い背中が連れていってくれる。

栄純「はぁ〜？なんだそりゃ」

A「いいから」

栄純「えー…」

誰も知らない、昔の話。

いや、知ってる人はいるかもしれない。

名前だけなら。

栄純「なんも変わんねぇ！」

A「なんも…とは？」

栄純「今更なにも変わんねぇよ、確かにAって色々まだわかんないとこちょぴっとあるけど」

うん

言ってないもんね。

自分でもなんで今唐突に聞いたのか分からないや。

栄純「それを知ったとしても変わんないかなーって」

A「なるほど」

そんな真っ直ぐになれるのが羨ましい。

私もそういう真っ直ぐなとこがあったら

最後まで…立っていたのかな。

栄純「あ！知らないとこあるっつってもこの野球部の中では俺が1番Aのこと知ってる自信はある！！」

A「うん、そうだね、栄純がいちばんよく分かってる」

こうして選手の中に混じって

君の手伝いをしていると思い出すんだ

最後の夏の日の記憶。

君みたいに真っ直ぐいられなくて

逃げてしまったあの夏の日。

髪を伸ばした理由も

君の背中についてきた本当の理由も

あの日突然東京を離れたことも

君は知らないと思うんだ。

A「あ！ほら手を止めないで！！もっと死ぬ気で打って！！腕を振る！！」

栄純「急にスパルタ！？」

A「これくらいスパルタじゃない！！」