私も器なんですよ3【呪術廻戦】 (ページ37)

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「「え？」」

釘崎と小沢の声が綺麗に重なった。

『でも、この好きが優子の想う好きとはきっと違うんだと思う。恋愛なんてよくわからないから…』

　

Aの言葉で小沢は心底安堵したように息を吐いた。こんな美しい少女がライバルなら、自分に勝ち目などないと思ったからだ。

程なくして、伏黒が到着する。

虎杖に彼女がいないこと、虎杖の好きなタイプに小沢が当てはまることを伏黒から聞き出すと、釘崎と小沢は頷き合いカチンと乾杯した。

　

そんな2人の様子に、感情の出にくいAの口角が珍しく上がった。

伏黒「Aどうした？」

『優子がなんだか、すごくきれいだなって思っただけ』

小沢「え？」

Aの一言に小沢の表情は、嬉しそうにはたまた困ったように、それでいて不機嫌そうに歪められる。

なぜならそれが、たいへん皮肉めいて聞こえたからである。この子の美しさには敵わないと心の中で負けた少女に、凡人の自分が褒められ、小沢はなぜだか見下されているような気になったのだ。

小沢「えぇと…山本さんのほうが…」

『優子のほうがきれいだよ。(小沢「どこがですか？」

『まず、字がきれいね』

そう言って先ほど小沢が連絡先を書いた紙を取り出す。

　

『姿勢もきれい』

先程からぴんと伸びた小沢の背中を隣に座ったAはさらりと撫でた。

『なにより、悠仁が好きだと想う気持ちがとてもきれい』