彼氏の話 ページ1
大｢おはよう、今日もかわいいなぁ｣
｢おはよう｣
大｢あ、そのセーター無いと思ってたらAの方にあったんや｣
｢うん、うちにあったから着ちゃった笑｣
朝から可愛い、俺の彼氏こと小日向A。
｢朝ごはん作るで｣
大｢ん｣
寝起きのどことなくぼーっとした雰囲気のままキッチンに立つA。
｢ふふ、笑｣
大｢なに？｣
｢寝癖かわいい｣
犬みたいにふわふわの髪の毛に寝癖がついたままそんなことを言う彼が愛おしい。
大｢今日は完全に休み？｣
｢うん。大吾も全休やっけ｣
大｢せやで〜｣
｢あ、映画見いひん？｣
大｢ええなぁそれ｣
今なんかやってたっけ、とスマホを取り出して調べようとする。
｢なんか見たいのある？｣
大｢んー…最近結構見たからなぁ｣
｢あ。｣
大｢ん？｣
｢おうちで見よ｣
大｢ええけど、なんかあったっけ？｣
｢最近配信サイトに入ったやん、あれ｣
Aが口に出したのは、俺が出演している作品。
大｢…いや無理やろ｣
｢無理ではないやろ笑｣
大｢いーや！俺の気持ちが保たへん｣
恥ずかしいやん、おらんとこで見て、とつぶやく。
｢恥ずかしがってるのが見たいに決まってるやん｣
大｢……あんた時々そういうこと言うよな｣
にや、と笑うのも可愛くて憎めないのがまた腹立つポイント。
｢ポップコーン作って、二人で見よ？｣
俺より背が高いはずなのになぜかできる上目遣いで頼まれれば、
大｢…わかったわかった、｣
断るという選択肢は無いに等しい。
｢えまって、あれって恋愛シーンある？大吾の｣
大｢…めっちゃちょっと？｣
｢あかん。やめよ｣
大｢え〜？嫉妬？嫉妬なん？｣
形勢逆転。これは一緒に見なきゃ。
｢うるさい！違うの見る！｣
大｢一緒に見たいって言ったの誰やっけ？｣
世間的にはクールなイメージがあるAだけど、
二人でいる時に見せる豊かな子供っぽい表情は俺だけのもの。
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作者名：うつつ | 作成日時：2023年3月7日 18時
