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「Aお嬢様に、
皿洗いなど出来るはずもない。
その上、住み込みなんて・・・」


お嬢様とは生きてきた世界が違う、

この世の汚いことを知り尽くしてる、


女給や、呼び込みのボーイ達と、
共に暮らすなど・・・


男衆に、恐ろしい目に遭わされてないやろうか。

それが、一番、不安や。


松下の旦那様と敵対しておる、
大野さんが、
Aお嬢様を守ってくれるとは思われへん。


俺の気持ちを汲んだかのように。


「やはり内緒にはしておけないな・・・」


櫻井さんが、
Aお嬢様の身の上に起こった、
忌まわしい出来事を話してくれはった。


声なんて、失うてしもて。

涙ばかりが溢れる。


お嬢様は、
男の性の乱暴さや身勝手さなど、
何も知らぬのや。


どれ程、怖い思いをされたやろう。


俺が、そばで守ってやられへんかったせいで・・・


「たまたま葵ちゃんが通りかかって、
未遂で済んだからいいようなものの、
恐怖心は計り知れなかったはずだ。
その事があって、
僕が住倉の叔父様を説得して、
Aさんも、
屋敷に置いてもらえる事となったから、
安心して。
喫茶千景の店主には、
僕から辞めると告げてきた」


「けど、松下の広大な敷地は、
そないな安値やないでしょう。
住倉様は、
一体どういうおつもりで・・・」


「・・・」


翔さんも、言葉を詰まらせはる。


この世は、

善意で生きてる人間ばかりやないと、

俺が一番、知っておったはずやのに。


Aお嬢様の親類やからと、

油断しておった・・・



「安田君、
今の君の状況は分からないけど、
もし出来る事なら、
Aさんと修太郎君を、
迎えに・・・」


「すぐにここを発ちます」


「土地の権利のことは、
僕がなんとかするから」


「ありがとう存じます。
櫻井さんには、なんとお礼を申し上げて良いのか」


「いや、礼など・・・。
Aさんは僕の妻の、
大切なご友人だから」


「ほんまにありがとうございます。
ご連絡下さった事、感謝致します」


電話を切って、すぐに、


「ヤス、東京の恋人になんぞあったんか?」


まだ廊下で待っておった大倉が、
心配そうに話しかけてきた。


「大倉、俺は、・・・阿呆やった。
ほんまの間抜けや。
今すぐ東京に発つ」


あんな話を聞いてしもて、
居ても立っても居られへん。


俺のただならぬ様子を察したんか、


「分かった。
気をつけてな」


大倉は詳しくは聞かずに、そう言うてくれた。


「ああ。じゃあ」

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亜季(プロフ) - 移行でまだ続きが読めるの嬉しいです! (2019年11月7日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ちょうど良いところでまたお預けに笑 章大さん優しくて可愛いです。君がためも読んできました!たくさんの更新ありがとうございます! (2019年11月7日 15時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ついに2人が…と思ったらお預けで、私が焦らされてます笑 続き楽しみにしています。 (2019年10月29日 7時) (レス) id: 1daab7209e (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - やきもち焼いて、ちょっと乱暴になる章大さんがかわいい! (2019年10月21日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
むー(プロフ) - おまけの更新、とっても嬉しいです!続きも楽しみにしていますね。 (2019年10月21日 22時) (レス) id: d961b44abd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2019年6月14日 21時

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