【オリジナル】白き夜、星屑の空。 (ページ17)

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薄氷の上を生きる僕ら　２ページ17

その子は顔を下に向けた。その肩が、少し震えている。
「だいじょう、ぶ…じゃ、ないです…」
言い終わらぬうちにその目からは大粒の涙が溢れて、溢れて、止まらぬようになってしまう。
頬を伝って止まらぬ涙を見て、俺は決意を固めた。

「なら、お前、俺んち来いよ」
「え…？」
「大丈夫じゃない、ってちゃんと言えて、お前はすげぇよ。俺は、そんなお前を助けてあげたいんだ。」
「今まで、よく頑張ってきたな。これからは、俺と一緒だ。」
あぁ、ほんとに何やってんだよ、俺。
でも、
「は･･･はい！！ありがとう！ほんまにありがとうな…！」
この子の心底嬉しそうな顔みたら、なんかどうでも良くなってきた。

さて、家に帰りますか。

そして俺は、この子のとんでもない過去を知ることになるんだ。

＊

家に帰ってきた訳だけど…
「ほほぅ！ここはなかなか興味深いぞ！見たこともないものがいっぱいだ！」
…この子、いったい何者なんだろう。気になったので、思い切って聞いてみる。
「お前、何物だ？」
「……」
「…？」
「…なぜ分かったんです？」
「え？」
「…僕が、人の子ではないと、なぜ分かったんだ？」
「…え？」
どういうことだ？
するとこの子はおもむろにコートを脱ぎ、くるりと一回転してみせた。
「え、えぇぇぇぇっ！？」
なんとなんと、
「僕の本当の姿は、白狐なんだ。」
まさかの展開に頭がついていけない。いや、理解しろという方が無理だろう。
さっきまで目の前にいた中性的な男の子が、身体を回しただけで半分くらいの背丈の白いもふもふに変化するなんて、そんなこと、誰が予想できる？？
「僕の名前は珀氷(はくひょう)。この名前は前に仕えていた主様につけてもらったんだ。僕の目の色が由来なんだってさ。氷のような色をしているから、珀氷と。」
「だが主様の神社が取り壊されてしまってな。行く当てがなかったんだ。とそこで、お前さんに拾ってもらったという訳じゃ。」
「これから、よろしく頼んだぞ。」
と、ぺこりと一礼された。首元の紅白のしめ縄に結ばれた鈴が、チリリと涼やかな音を立てる。白のもふもふさの中から透き通った目が、まっすぐに俺を見つめてきて。なんか頼まれてしまったようだ。
「あ、あぁ。よろしくな。」

とまぁ、こんな感じに二人(一人と一匹)の共同生活は始まったんだ。