34日目 ページ36
「アタシから行くよ！」
と言っては、念能力で糸らしき物を出すのは女性の方だ。
……成る程。あの時オレを拘束したのはやはり、念で生成された糸だったのか。
「燃やし尽くせ……！」
念能力には念能力だ。
その女性に駆け寄りながらも念を込めた炎の魔法を糸の触れた所に発動し、焼き切り進む。
そして十分に距離を詰め寄り、キーブレードを叩き込もうとする。
しかし、先程より多い念が入っている糸で防がれ、切断する事が出来なかった。
「はあっ！」
「ふッ……！」
防がれたことにより、相手からカウンターの蹴りが繰り出されたので即座にバックステップで避ける。
ロクサスは……もう一人の男と戦っているな。
「よそ見してんじゃないよ！」
目を逸らしたのは瞬き程の時間であったのだが、気が付けば一瞬で間合いを詰められる。
殴りを入れられそうなのを間一髪で避け、魔法を撃ち返そうとするが……
「うわぁ！！」
「ロクサスッ！」
ロクサスも相手が悪かったか。その男は、非常に剣術に長けている者だった。
「うぐっ……！！」
そしてロクサスに気を取られていれば、オレの腹に拳が入る。内側の骨が折れる様な重い音が、辺りに響いた。
「ほら、言わんこっちゃない」
膝を地面についたオレに、其奴が告げる。
中々に入り所が悪く、吐き気と乱れた呼吸で意識が遠のいてくる。しかし、それを追随するかの様に腕を掴まれ、そのまま捻り上げられた。
「おい、マキ。 こいつらは……」
「離せっ……！ A！！」
ロクサスも捕まったらしい。怪我をしている様子は無いが、後ろ手に拘束され、如何にも動けない状態だ。
彼奴に怪我が無さそうなのは良かったが、これは手痛い敗北。さて、そろそろ意識が無くなりそうだ。
「団長の所に持って行くよ。
ついキレて忘れそうになったけど、見つけたら捕まえろ。それが指示だったろ？
……という事で、少し眠ってなよ」
腹にもう一発入れられれば、今度こそ意識を失ってしまった。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
