21日目 ページ23
「……エアロガ」
魔法を発動させると、オレを取り巻く突風が其奴の手を離す。
「うわっ……」
この隙に素早く後退すれば、キーブレードを構えて完全な戦闘態勢へと移行した。
その者は黒い長髪が特徴的な男。
驚いているのか、じっとオレの腕を掴んでいた手を見つめている。
「……ふぅん。面白い。
ねぇ、君……ちょっとそれ見せてよ」
そんな男の発言は、まるで好奇心旺盛な子供の様だが、表情の変化が無いが為に言葉の真偽は読み取れない。
「近寄るな」
相手が一歩寄る毎に、此方も一歩退がる。
ジリジリと退がっていき、遂に背後に壁が迫ってきた時……ヒソカがオレと其奴の間にトランプを投げた。
「ちょっと♧その子には手を出さないで貰いたいな♢
ボクが一番期待してる子なんだから♤」
「……そっか。 期待してる……だったら尚更手に入れてみたいな」
此奴らが組んでいるのは大体察しがついていたが……今にも殺し合いになりそうな雰囲気を醸し出す理由はオレには解らない。
「……何はともあれ、今のうちか」
此方に関心が向かないこの機を逃すまいと回廊を開こうとする。
しかしその途端、その二人の方向からトランプと針の様なものが飛んできた。
「「逃がさないよ」」
「くっ…！！」
咄嗟にそれらをキーブレードで弾き落とすが、その隙に二人に背後へと回り込まれる。
「しまっ___」
隙を突かれた攻撃にも何とか対抗しようと、キーブレードで防御の構えをとろうとしたその時だった。
「Aに、近付くなっ！」
「ロクサスッ……！」
突然ロクサスが登場し、片方の攻撃を防ぐ。
オレも即座に防御し、一人の攻撃なら辛うじて食らうこともなかった。
「おっと♡ もう1人も来たのか♧」
「んー……この調子だと、他の奴らも思ったより早く来そうだ」
この状況の転換に其奴らは特に動揺も見せず、互いにバックステップで間合いを取る。
「Aには近付けさせない……！」
現れたロクサスは、まるで番犬の威嚇の様に歯を剥き出しにしてはキーブレードを構えている。
「……こうなったら強硬手段だ」
いくらロクサスが加われど普通に戦って勝てる訳がなく、やはり撤退するのが得策だと考える。
……と、なると。
「……色は、黒。 絶望の闇だ」
茶色の時間は使う前に気付かれる。
であれば黒の……闇だ。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
