20日目 ページ22
はぁ……如何するべきか。
内心溜息を吐きながらも、思考を巡らす。
流石に今此奴と戦闘に入っても、勝利は限りなくゼロに近い。 実力が違う。
かと言っても、このままでいてはこの先良い結末を迎える事はできない。ああ、面倒臭い。
「おや♧ 掛かってこないのかい♤」
キーブレードを携えているオレを見て、ヒソカは笑みを湛える。
「……このまま闇雲に掛かっていても、貴様に勝てはしないと推測している」
……それに、何か嫌な予感もするんだ。
こういった時のオレの危機察知能力は、中々に高い方だと自負している。
「そっか♢ 残念♡」
其奴は背後に隠し持っていたであろうトランプを、此方が気付くように翳した。
「今のうちにキミが逃げられないように、足でも切り落とそうと思ったんだけどね♧」
……それ見たことか。もう何度も経験済みだ、そんな事。
オレの予感は相変わらずよく当たる。
「……足を切り落とされたら、試験が受けづらいだろう」
時間を稼ぐ為にも、何とか誤魔化そうと適当に理由をつけて言ってみた。
……我ながら下手だとは思う。
すると、ヒソカは少し考えるそぶりを見せる。
「んー……♢ それもそうだよね♧
でも、それならボクが手伝ってあげればいい事だから、特に問題は無いよ♡」
……だろうな。そうだと思っていた。
こういった手の奴らは、如何してこんなに自分勝手なのか。
「……生憎、そう大人しく足を落とされる訳にはいかない。後が面倒臭いからな」
機関の者達を思い浮かべては、痛んだ頭。
体の一部が無くなった状態で帰ってくるなど、下手したら大騒ぎだ。それこそ、今以上に拘束が増えてしまう。それは御免だ。
ワープをするにも、きっと直ぐに抑え込まれてしまうだろう。
オレは間合いを取る為、背後に退がろうとしたが……
「ッ……！？」
しかし、正面にいるヒソカとは違う、別の誰かに退がった背後から腕を掴み上げられる。
「……子供追っかけ回して楽しいの？」
驚きに固まったオレの背後にいる者が、ヒソカに向かい声を掛けた。
「ああ、キミも来たんだね♢
うーん♤ 追っかけ回してる気は無いんだけどな♧」
当たり前のように会話をしている事から、ヒソカと背後の人物は知り合いの様だ。
何だ、また敵が増えたということか？
「離せっ！」
抵抗しようが、腕を掴む力が強すぎて離れる気がしない。此奴も相当な手練れだ。
兎に角、如何にかしてオレの腕を掴んでいるこの手を離さなければ。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
