知らない ページ50
お土産も買い終わり、水族館を出た私たちは遅めのお昼ご飯を食べる事にした。
水族館の近くのショッピングモールに入り、フードコートにて二人で席を探す。
『あ、あそこ空いてます！』
「よっしゃ！ナイスや、Aちゃん！」
私が見つけた空席に、すかさず折原さんが向かい席を確保した。どちらが奥側のソファに座るかで譲り合い合戦が発生したものの、先に私が買いに行くという事で、折原さんをソファ席に座らせる事に成功した。
『それでは行ってきます』
「おん、行ってらっしゃい」
ぐるりとフードコートの中のお店を見渡し、そこそこ空いていた洋食屋さんに足を運ぶ。値段も手頃だったので、オムライスを頼んだ。番号札代わりの機械を手渡され、席に戻ろうとすると視界の先で折原さんが見知らぬ女の子たちに囲まれていた。
折原さんは明らかに困っている様子だったので、早く助けなければと急ぎ足で席に向かう。
『折原さ…』
「センラさんですよね？ちょーファンなんです！」
「私もう5年以上センラーでぇ！こんな所で会えるなんて超ラッキー！」
「いや、だから…」
「今日は誰と来たんですかぁ？やっぱり浦島の皆ととかですかぁ？」
「え、でも二人席って事は志麻さんとじゃね？」
「生の志麻センキター！」
目の前で交わされる会話の内容が理解できず、頭の上に疑問符しか浮かばない。だが、折原さんを囲む女の子たちの口ぶりから、折原さんが芸能人のように扱われている事だけは理解した。
(どういう事…？)
折原さんはただのサラリーマンのはずだ。実はモデルさんを副業でやっているとか、そういう事なのだろうか。でも、私はそんな話は一度も聞いていない。知らない事を良い事に黙っていたかった事なのだろうか。
(何だか折原さんが知らない人みたい)
可愛い女の子たちに囲まれている折原さんを見て、心が少しずつ悲しみの波に呑まれていく。
どうして話してもらえなかったのだろう。折原さんの全てを知りたいなんて贅沢は言ってはいけない事は分かってる。だけど、この光景を見て何も感じない程折原さんへの「好き」が少ないわけじゃないのに。
「Aちゃん、向こうの柱の陰に隠れとって」
泣きそうになっていた私に手を差し伸べてくれたのは、本日二回目の黒子のイケメンさんで。隣でそっと掛けられた声に従い、私は溢れそうになる涙をこらえながら柱の陰へと一目散に駆けて行く。
柱に隠れる直前、折原さんの近くに見知らぬ男性が二人立っているのが見えたのだった。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
