stage.2-2 ページ4
「あなた達、名前は?」
「坂田です…」
『うらたです』
「…そう」
ラヴィさんは数秒目を伏せた後、小さく頷いた。
「二人とも、付いてきて」
「おいラヴィ、また拾い物か?あんまり拾いすぎるなよ」
「忠告ありがとう、でも大丈夫よ」
ラヴィさんはふわりと微笑むと、門田に背を向けた。俺が最後にみた門田は、ほんのり頬を染めていて、ちょっと…いや結構気持ち悪かった。
「二人とも、そこのソファーに座っててね」
ラヴィさんに案内されたのは、小さな応接室らしき場所。坂田と一緒にふかふかのソファーに座ってそわそわしていると、ラヴィさんはお茶とサンドイッチを持って現れた。
「ふふ、緊張してるわね。…ささやかだけど、これでも食べて?お腹空いているんじゃない?」
『え…』
「何で分かったの?って顔してるわね。…色々理由はあるけど、まずはお食べなさいな」
正直、ここ数日はまともな食事を取っていなかった俺たちは有り難くサンドイッチと温かい紅茶を頂いた。今までの人生の中であんなに美味しかった食事は無くて、無我夢中で食べた。
「…私が二人を空腹だと推測した理由は、まず全体的に汚れていて、洋服の汚れている箇所から見るに何日か野宿したように思えた事。それから洋服が少しぶかぶかで、隙間から覗く腕とかが痩せているように見えた事。…細かい理由はもう少しあるけど、これ位でいいかしら?」
あの短時間だけでこんなにも様々な情報を見つけ、処理していたのかと俺は驚愕する。
「改めて、私はここのカジノで働いているAと言います。カジノの中ではラヴィと呼ばれています」
『うらたです』
「坂田です」
「ええ、よろしくね。実は私、採用担当みたいな事をしているの」
『え!』
悪戯っぽく笑うAさんに、期待に胸が高鳴る。
「坂田君が見せてくれた紹介状、あなたのお父様のものよね」
「はい…」
「さっき門田が言っていた通り、本来は紹介状は本人のみ有効なんだけど…坂田君のお父様から連絡を貰っていてね。………もし自分に何かあったら、この紹介状を息子に譲渡したい、って」
「つまり…?」
「二人が望むなら、このカジノで二人を雇うことができるわ」
「本当ですか?!」
『ありがとうございます!』
「ふふ、色々大変だろうけど、頑張ってね」
こうして俺たちはAさんに拾ってもらったお陰で無事に「カジノ SHUFFLE」で働けるようになり、その後色々あって今では「四天王」と呼ばれる事になるのは、また別の話。
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紫苑(プロフ) - リリさん» ちゃんと変換できたみたいで良かったです! ご不便をおかけして、失礼しましたm(__)m 頑張ります!ありがとうございます! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - ちゃんと、名前が出来ていました!名前で呼ばれるのが嬉しいです( ̄∇ ̄*)ゞ次も頑張ってください! (2019年10月13日 18時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リリさん» リリさん、ご指摘ありがとうございます…!こちらの設定ミスです…修正いたしましたので、名前が変換されるはずです! 応援ありがとうございます!頑張ります!!! (2019年10月11日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 最高です!登場人物の、名前を変える設定で名前を入れても、変えれないのですが……どういうことでしょうか……これからも、頑張ってください! (2019年10月11日 15時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫苑 | 作成日時:2019年10月7日 13時