stage.15 ページ21
(side.You)
オーナーになって4年目。ついに大会の日が来てしまった。今日はオーナーとして挨拶する事に加えて、決勝のディーラーと優勝者の対戦相手を務める事になる。
優勝した人は、オーナーである私に挑戦する権利が与えられる。もしオーナーに勝てば、オーナーの座は勝者に譲られる。勿論、オーナーに挑戦する"権利"なので、挑戦せずに願い事を1つ願って、優勝賞金を受け取って、終わらせる事もできる…らしい。
4年前の私はそんなルールは露知らず、言われるがままにゲームをしていたせいでオーナーになってしまった。先に教えてほしかった…とボソリと呟けば、金城さんには「挑戦するのが当たり前の風潮だから仕方が無い」と苦笑されて流された。
『うぅ…緊張する…!』
年に1度のディーラーとしての正装を着ると、緊張感が増す。普段ラヴィとして過ごす時は胸を潰して、ローヒールで小動物っぽいディーラーでいるのだが、今日はオーナーとして人前に出るという事で、胸は潰さずハイヒールを履き、真っ赤な口紅を塗り大人の女性っぽくなっている。
『ここまで来ると、もはや私は誰状態…』
鏡の前で自分の姿を見ては、違和感を覚えて首を傾げてしまう。すると鏡の中の人間も自分と同じ方向に首を傾げるので、鏡の中の人間が自分であると気が付く…という何とも間抜けな事を繰り返していた。
「オーナー、準備が整いました」
『ひゃい!』
「…オーナー?」
『……失礼しました。行きましょう、金城』
ノックの音に気が付かず、変な声で返事をしてしまった。冷たい眼差しを背後から感じながら、仮面をつけ、背筋を伸ばして歩き始める。会場に近付けば近付く程、周りのざわめきが遠のき、自分の世界に集中していく。
「それではオーナーの登場です。皆様、拍手でお出迎え下さい」
『皆様、本日はようこそ「カジノ SHUFFLE」へ。4年に1度のこの大会、どうか心ゆくまで夢のような楽しい時間をお過ごしくださいませ』
優雅に微笑みながら一礼をすれば、会場は拍手で包まれる。これで一先ず出番は終了。決勝までゆっくり休ませてもらおうと、ステージからそそくさと私は退散するのであった。
―――その後、まさか恐ろしい事態に巻き込まれるなど露ほども思わずに。
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紫苑(プロフ) - リリさん» ちゃんと変換できたみたいで良かったです! ご不便をおかけして、失礼しましたm(__)m 頑張ります!ありがとうございます! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - ちゃんと、名前が出来ていました!名前で呼ばれるのが嬉しいです( ̄∇ ̄*)ゞ次も頑張ってください! (2019年10月13日 18時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リリさん» リリさん、ご指摘ありがとうございます…!こちらの設定ミスです…修正いたしましたので、名前が変換されるはずです! 応援ありがとうございます!頑張ります!!! (2019年10月11日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 最高です!登場人物の、名前を変える設定で名前を入れても、変えれないのですが……どういうことでしょうか……これからも、頑張ってください! (2019年10月11日 15時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫苑 | 作成日時:2019年10月7日 13時