【歌い手】短編集《合作》

失恋、告白〈うらたぬき〉☆ ページ8

突然だが、俺は幼馴染であるAが好きだ。

好きならばさっさと告白しろと言われるかもしれないが、そう言う訳にもいかない。

なぜならAには彼氏がいるからだ。

しかし…

「うわあぁぁん!わたるぅぅぅぅ!!」

うら「はいはい。お前の気持ちは分かったからもう泣き止めようぜ?」

「……無理…。

だって!あっちからアピールしてきて付き合い始めたのに!あっちがフるってどういう事!?」

うら「どういう事っつってもなぁ…。」

そう、Aとその彼氏は今日、別れたのだ。

うら「俺は何もできねえぞ?」

「分かってるけど…。」

Aはそれだけ言うと寂しいというように目線を下に移した。







…まあ、俺にとっては好都合だから嬉しい限りなんだが。

うら「なあ、お前は元カレじゃなきゃいけないのか?

……俺じゃ…ダメなのか?」

「……。」

Aは何も言わずに下を向いたまま。

うら「……ん…。」

「!?」

このままでいてもどうしようもないから、少し無理やりだけどAの顎をもって上に向けさせてそのままキスをした。

まあ簡単に言えば顎クイキスしたって事だな。

「わ…たる…?」

うら「元カレのことなんか忘れて、俺にしろよ…。

俺なら、お前を泣かせない。お前が悲しんだり、寂しがったりすることは絶対にしない。

だから…。」

「……約束だよ…?」

うら「!…ああ。」

俺達は笑いあって、小指と小指を絡めた。

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