イベントが決まっただけでこんな話題になる？【歌い手】

｜５７｜まふまふ.side ページ10

「ど、どうですか…？」

すいみぃさんに尋ねた声は心なしか震えていて、自分は緊張しているのがすぐに分かる。
憧れの人が、その人の為だけに作った曲を聞いてくれて、こんなに緊張しないほうが可笑しい。
すいみぃさんは僕と目を合わせた。

『…すごく良かったです』

ふわり、と控えめに笑った彼女の口から出てきたのは批判の声ではない。寧ろ褒めてもらってると思うべき言葉。
それでも僕は思わず「本当にそう思いますか！？」なんて疑うようなことを言って前のめりになってしまった。

けど、そんな僕の行動に驚きもせずにゆっくりと頷いてくれるすいみぃさん。
…どうしよう。こんなに嬉しい事ってそうそう無い。

『メロディも歌詞も最高でした。特にラスサビの前の一言が結構ききますね』
「ほ、ほほほんとですか？」
『はい。素敵ですよ、この曲』
「よかっ、たぁぁぁぁぁぁぁぁ…！！」

パソコンのキーボードを押さないように気を付けながら、脱力した僕は顔を伏せた。

『そこまで気を張らなくても…』
「張りますよ！緊張のATフィールド全開でした！」
『まさかの使徒が私とな』
「凄く強そうですね」
『あぁ、ありがとうございま…それ褒めてます？』

横目ですいみぃさんを確認すれば、首を傾げて僕を凝視している。
後でしっかり謝っておこう。

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