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私が念能力を発動させると黒猫が私の足元に現れる。これこそが私の念能力の一つ『追いかけ回すニャー』で、黒猫が探したい人の写真や臭いを元に追跡をする能力だ。
まず目指すところは昨日使われた会議室だ。会議室にある椅子を、この黒猫に嗅がせれば一発でエトレアさんの居場所がわかるだろう。
「さ、さっさと終わらせましょうか」
そういうと、私はさっそく歩き出した。たしか彼は──私から3つ離れた席に座っていたはず。新しく屋敷に雇われたボディガードで目立っていたから記憶に残っている。
会議室に着くとさっそく私は黒猫に指示して、エトレアさんが座っていた椅子の匂いを黒猫に嗅がせる。耳をピクリと揺らすと、部屋を飛び出した。さすが私の猫、賢い。
「いねぇじゃねぇか」
ジャージを着た男がきょろきょろと会議室を見回しながら呟くと同時に、一部の仲間が冷ややかな目でこちらを見てくる。
「言ったでしょう、ちょっと手間がかかるって」
何か言いたそうな彼らを無視して私は会議室を出る。曲がり角で黒猫が待っていてくれていた。
ふう、と息を零すとエトレアさんに会いに行くため、私は黒猫を追いかけた。そして、着いたところは当主の部屋だった。わざわざ当主の部屋に戻ってきたというのか。
なぁご、と鳴きながら黒猫は部屋のドアをかすかすと爪で引っ掻く。念で作った黒猫を消すと、ドアノブを捻る。
会議室を出たときから、盗賊たちは絶を使っていた。存在感を薄める念の一種だ。物分かりの良いこと、と思いながら思いっきりドアを開けた。
真っ先に目に入ったのは、拳銃を持ったエトレアさんだった。おそらく他のボディガードから奪ったんだろう。そして「状況がわからない」という顔の当主が部屋にいた。拳銃を持っているエトレアさんがいつ発砲するかわからない。むやみに刺激するのは危険だろう。
「あれ、後ろにいるのはかの有名な幻影旅団じゃないですか？」
エトレアさんから目を離すわけにはいかないが、盗賊たちの姿を思い出す。
彼らが幻影旅団……？ 幻影旅団は有名な盗賊集団だ。ハンターである者なら一度くらいは耳にしたことがあると話されるほどの。しかし実際に見たのは初めてだった。
オークションを開催しているところを手あたり次第襲撃しては、宝石を根こそぎ盗んでいるんだとか。
そんな奴らと今手を組んでいたのか、と驚きつつも冷静を装った。
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