誕生日プレゼント(橙) (ページ4)

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いつまでもそんな日が続くと思ってた

二人で一緒に

二人だけの世界で

あの幼い私達があげた微笑ましい結婚式から

30年

気がついてへんかった

......

気がついてへんふりをしてた

隆ちゃんが好きで

隆ちゃんだけが大好きで

ちゃんと考えて生きこぉへんかった私に

現実から目を背け続けた私に

神様は罰を与えたんだ

とんととん

とんととん

眠りの浅い私に隆ちゃんがいつもしてくれる

小さい子にお母さんが寝かしつけにするように

優しく繰り返す独特のリズム

強ばってた体が緩むのに合わせて

堪えてた嗚咽が止まらへんようになった

｢Aちゃん？どないしたん？｣

｢なんかあった？｣

隆ちゃんに布団めくられて

それでも私は

背中を向けたまんま

ただただ自分のことだけで精一杯で...

｢隆ちゃんのあほ｣

｢ちゃんと話、したかったのに｣

｢ちゃんと...聞いて欲しかったのに｣

途絶え途絶えやけど

そう言うたら

隆ちゃんがベッドに上がってきたかと思うと

被さるようにして力技で私を抱き起こして

｢...ごめん...｣

そう言って抱きしめてくれた